日本大百科全書(ニッポニカ) 「本庄陸男」の意味・わかりやすい解説
本庄陸男
ほんじょうむつお
(1905―1939)
小説家。北海道生まれ。佐賀県出身の士族の父は1895年(明治28)北海道に渡って開拓農民となった。青山師範卒業後、小学校教員を勤めるかたわら、同人雑誌に小説を発表。ナップの作家同盟員として童話や教育評論に健筆を振るった。1934年(昭和9)4月『現実』に参加、36年、第二次『現実』、『人民文庫』にも参加する。教職経験に基づいた『白い壁』(1934)で注目を浴び、ほかに亡妻ものや農民の生活を描いたものなどがある。38年6月『槐(えんじゅ)』創刊に参加し、歴史長編小説『石狩川』(1939~40)を連載、好評を得たが肺結核のため早逝した。単行本に『白い壁』(1935)、『女の子男の子』(1940)、『石狩は懐く』(1939)、『本庄陸男遺稿集』(1964)、『橋梁(きょうりょう)』(1968)などがある。
[遠矢龍之介]
『『日本現代文学全集89』(1968・講談社)』▽『『白い壁・橋梁』(新日本出版社・新日本文庫)』