デジタル大辞泉 「来し方」の意味・読み・例文・類語
こ‐し‐かた【来し方】
1 過ぎ去った時。過去。きしかた。
「―は暗い
2 通り過ぎてきた場所・方向。
「―の山は
[補説]1の意は、平安中期には「きしかた」を用いた。平安末期にはその区別がはっきりしなくなり、鎌倉時代に入ると1・2両意に「こしかた」が使われるようになった。
[類語]昔・過去・以前・
動詞「来」に、過去の助動詞「き」が連体形・已然形として接続する場合には、未然形「こ」に接続した「こし」「こしか」、さらに平安時代になり新たに発生したものとして連用形「き」に接続した「きし」「きしか」、の二系統の語形がある。この中の「こし」「きし」に名詞「方(かた)」が接続したものが「こしかた」と「きしかた」である。この二種の語形には意味の上でのおおよその使い分けがあるともいわれ、「源氏物語」などでは単独で用いられる場合、「こしかた」は過ぎてきた地点・方向を指し、「きしかた」は過ぎてきた時間・経験を指すとされる。
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