構造物の荷重を支持地盤に伝えるために設置する柱状の地中構造体。通常、上部構造からの荷重は杭頭に伝達され、杭周辺あるいは杭先端部から地盤に支持される。基礎杭のほか各種用途に利用され、使用目的により土止め杭、抑止杭、防衝杭など種々の呼称がある。近年、施工技術の進歩に伴い大径、長尺杭の施工が可能となり、直径数メートル以上の大断面の杭も施工されている。
荷重の支持機構により支持杭と摩擦杭とに大別される。支持杭は、杭先端部が十分な支持力のある良質な地層に根入れされているものをいう。これに対して杭先端が良質な支持層に達せず、主として杭とその周辺の土との摩擦抵抗力によって荷重を支えるものを摩擦杭という。また、水平荷重に対して設計上柔らかな弾性材として扱えるものを杭といい、剛体に近い挙動を示すものはケーソンcaissonとして区分される。したがって、大径杭になると、施工はケーソンと同様な工法をとりながら、設計上は杭として分類されることもある。杭本体を構成する材料あるいは施工法により分類すると、既製杭と場所打ち杭とに大別され、さらに既製杭は打込み杭と埋込み杭とに分けられる。
コンクリート杭には、鉄筋コンクリート杭、プレストレストコンクリート杭、高強度プレストレストコンクリート杭、およびコンクリート杭と鋼杭の中間的なものとしての鋼管コンクリート合成杭などがある。断面形状はいずれも円形中空が一般的である。鋼杭はパイプ状の鋼管杭とH形断面のH杭とに大別されるが、日本では鋼管杭が多用される。地盤沈下に伴い杭に作用する下向きの摩擦力(ネガティブフリクションnegative friction)による杭の破損を防止するために、特殊なアスファルト表面処理を施した杭も製作されている。打設方法には、打撃または振動により打ち込む方法と、地盤に穿孔(せんこう)して挿入するなどの方法により杭を埋設する埋込み杭工法とがある。
[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]
あらかじめ地盤中に孔(あな)を掘削し、その孔の中に現場打ちコンクリートを打ち込み築造する無筋、鉄筋あるいは鉄骨コンクリート杭。場所打ち杭の初期のものとして、明治末期から大正期にかけてペデスタルpedestal杭などの打撃貫入式の場所打ち杭が導入され、その後30余年にわたって使用された。1950年代以降、各種の機械掘削式大口径場所打ち杭工法が相次いで導入、開発され、急速な発展を遂げ今日に至った。1930年(昭和5)ごろから用いられてきた人力掘削式の深礎工法は、特殊な設備や機械を必要とせず、掘削地盤を直接確認しながら施工できるなどの利点があり、いまなお条件に応じ広く使用されている。
[河野 彰・清水 仁・鴫谷 孝]
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