精選版 日本国語大辞典 「杯」の意味・読み・例文・類語
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盃とも書く。酒を飲む容器。猪口(ちょく、ちょこ)ともいう。酒杯(さかつき)あるいは酒注(さかつぎ)から転訛(てんか)したとされ、杯、盃のほか坏、盞、、爵、觥、觚、觶、鍾など多くの字をあてる。古くは素焼の土器(かわらけ)が一般的であったが、やがて金銀製の杯や木製漆器の杯が登場し、中世には杯といえば朱漆塗りの木杯をさすまでに広がった。『和漢三才図会』によれば、すでに正徳(しょうとく)年間(1711~1716)には陶磁器製の杯が現れていたが、まだ一般には用いられず、喜田川守貞(きたがわもりさだ)の『守貞漫稿』には「杯モ近年ハ漆杯ヲ用フルコト稀(まれ)ニテ、磁器ヲ専用トス」とあり、陶磁器杯が普及するのは天保(てんぽう)期(1830~1844)以降と考えられる。古い時代には、漆器の大杯が重用されていたが、江戸時代に入ると「銘々杯」という小型の杯を用いる風習がおこり、遊里や居酒屋をはじめ家庭の晩酌に至るまで、小杯による飲酒が普及した。このころ酒の製法は濁酒から清酒へと発達して、これに伴い酒の飲用も冷酒から燗(かん)酒へと移り、酒注(つ)ぎの道具も土器杯には瓶子(へいじ)、漆器杯には提子(ひさげ)・銚子(ちょうし)、陶磁器杯には燗徳利というように、使用する杯の資材にあったものが用いられた。ことに「猪口(ちょこ)」といわれる陶磁器製の杯は、燗徳利の流行とともに普及し、現在では杯を代表するまでになっている。幕末にはガラス製の杯や錫(すず)製の杯も現れた。杯の変わり種としては可杯(べくさかずき)、天狗(てんぐ)杯、枡(ます)杯、袋杯などがある。しかし燗酒を猪口で飲むのは略式とされて、正式の儀礼には大小三重(みつがさね)の朱漆杯に冷酒を注ぐ方式がとられ、この姿はいまも結婚式の三三九度(さんさんくど)の杯として伝えられている。儀礼用の組杯をのせる台を杯台(さかずきだい)といい、江戸時代には金蒔絵(きんまきえ)を施した豪華なものが用いられたが、現在では結婚式か正月の祝い酒などに使用される程度である。
[宮垣克己]
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