松前(読み)まつまえ

精選版 日本国語大辞典 「松前」の意味・読み・例文・類語

まつまえ まつまへ【松前】

[1] 北海道南西部、渡島(おしま)半島南端の地名。もともとアイヌ民族が住みついていた土地であるが、鎌倉時代から和人が来住し、室町後期、武田信広(蠣崎信広)がコシャマインの戦いの後、道南を次第に占領。蠣崎氏五代慶広が秀吉家康に所領安堵をうけて松前氏と改称し、江戸時代には松前氏の城下町漁業が主。江戸初期から昭和一五年(一九四〇)まで福山と称した。
[2] 〘名〙 ((一)が名産地であったところから) 「こんぶ(昆布)」の俗称。
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一一(1761)梅一「枩前と五嶋は恋のはれ道ぐ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「松前」の意味・読み・例文・類語

まつまえ〔まつまへ〕【松前】

北海道南西端部の地名。江戸時代は松前氏の城下町で、蝦夷えぞ経営の中心となった。福山城松前城)がある。コンブイカホッケなどを産する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松前」の意味・わかりやすい解説

松前
まつまえ

北海道の松前地方は昆布の名産地であったので、昆布を用いる料理に松前という文字を使う。松前煮は甘露(かんろ)煮の一種で、白焼きのハゼフナアユなどを甘露煮にして、これに昆布も煮て加えたもの。松前揚げは材料(エビ、サヨリなど)に小麦粉をまぶし、卵の白身をつけて細かく刻んだ昆布をまぶしてさっと揚げる。松前漬けは細く刻んだするめと昆布を加えてみりんじょうゆ漬けにしたものである。

[多田鉄之助]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

少子化問題

少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...

少子化問題の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android