果糖(読み)カトウ(英語表記)fructose
fruit sugar

デジタル大辞泉 「果糖」の意味・読み・例文・類語

か‐とう〔クワタウ〕【果糖】

果実蜂蜜はちみつなどに含まれる単糖類ぶどう糖と結合すると蔗糖しょとうとなる。甘み糖類中最高。左旋性があるので、左旋糖・レブロースともいう。分子式C6H12O6 D-フルクトース

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精選版 日本国語大辞典 「果糖」の意味・読み・例文・類語

か‐とうクヮタウ【果糖】

  1. 〘 名詞 〙 代表的な単糖類。果汁蜂蜜に含まれ、また、蔗糖の一成分でもある。左旋糖。〔医語類聚(1872)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「果糖」の意味・わかりやすい解説

果糖 (かとう)
fructose
fruit sugar

甘みの強い果汁,花に含まれ,はちみつにとくに多く含まれる単糖類。ケトン基をもつ六炭糖(ケトヘキソース)で,ブドウ糖と共存して自然界に広く存在する。化学名はD-フルクトースでC6H12O6の分子式で示される。

 ショ糖は果糖とブドウ糖が結合してできた二糖類である。果糖は,ショ糖を酸あるいはインベルターゼ(ショ糖分解酵素)の作用で加水分解して,ブドウ糖から分離して得られている。以前は,キクイモのイヌリンを分解して得ていた。果糖は糖類の中では最も甘みが強く,その甘みはショ糖の1.3~1.7倍といわれている。結晶果糖は,吸湿性が強く,甘みは温度によって著しく変化する。これは,果糖の結晶は甘みの強いβ型であるが,これが溶液になると変旋光を起こして,部分的に甘みの低いα型に変化するためである。α型の甘みはβ型の1/3で,温度が高くなるに従ってα型の含量が多くなる。40℃までは果糖はショ糖より甘みが強いが,40℃以上では,逆にショ糖より甘みが低くなる。このような点から考えて,果糖は低温で飲用する果汁の中ではひじょうに強い甘みを呈するが,コーヒーなどに入れた場合には甘味度が低い。果糖は吸湿性高いので,ケーキカステラなどの砂糖の晶出防止にも用いられる。最近,デンプンを加水分解して得たブドウ糖にグルコースイソメラーゼ(ブドウ糖異性化酵素)を作用させて,ブドウ糖の一部を果糖に変えて甘みを増強した異性化糖が新しい甘味料として登場し,幅広く用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「果糖」の意味・わかりやすい解説

果糖
かとう

D-フルクトースのことで、天然にもっとも広く存在するケトース。果実、蜂蜜(はちみつ)に多く、甘味度は糖類中もっとも高いが、ショ糖と異なり、温度で変化し、低温のほうが甘味が強い。またグルコースと異なり、体内での吸収あるいは代謝インスリンをほとんど必要とせず、糖尿病の場合も利用可能のケースがある。

[不破英次]

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百科事典マイペディア 「果糖」の意味・わかりやすい解説

果糖【かとう】

化学式はC6H12O6。D-フルクトースとも。植物に最も普通に存在する糖で,代表的なケトヘキソース。果汁,蜂蜜(はちみつ)に特に多い。またショ糖,ラフィノース,スタキオース,イヌリンなどの二糖や多糖は,成分に果糖を含む。糖類中最も甘味が強い。吸湿性,還元性がある。ブドウ糖分解などは果糖を経て行われ,糖代謝に重要な役割を果たす。(図)
→関連項目

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化学辞典 第2版 「果糖」の解説

果糖
カトウ
fruit sugar

[同義異語]D-フルクトース

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栄養・生化学辞典 「果糖」の解説

果糖

 →フルクトース

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「果糖」の意味・わかりやすい解説

果糖
かとう

「フルクトース」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の果糖の言及

【炭水化物】より

…少糖は単糖が2~20個程度,多糖はさらにそれ以上結合したものである。単糖の例としてはブドウ糖(グルコース),ガラクトース,また少糖の例としてはグルコースが2分子結合した麦芽糖(マルトース),グルコースと果糖(フルクトース)が結合したショ糖(砂糖),グルコースとガラクトースが結合した乳糖(ラクトース)をあげることができる。多糖にはデンプングリコーゲンセルロースなどがある。…

【単糖】より

…このうちD‐マンノースD‐mannose(図(2)),D‐ガラクトースD‐galactose(図(5))が特に重要である。また,ケトン基をもつ糖としてD‐フルクトースD‐fructose(果糖,図(7))が知られている。糖の異性体のうちには,水酸基と水素原子の配置が鏡像の関係にある,すなわちまったく逆の二つの糖の組が現れる。…

※「果糖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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