デジタル大辞泉 「核子」の意味・読み・例文・類語
さな‐ご【▽核子】
2 米の粉をふるうときに残る米かす。
原子核を構成している陽子と中性子をまとめた呼称。原子の中心にある原子核は2種類の粒子、陽子と中性子が集まってできたものである。陽子も中性子もともにスピン1/2で、電子と同様フェルミ‐ディラック統計に従う。したがってこれらの粒子の集合体では、同じ粒子状態には1個の粒子しか入れないというパウリの原理が働く。陽子と中性子の質量はほとんど同じで、電子の質量の約1800倍である。中性子は電気的に中性であるが、陽子は電子の電荷と同じ大きさで符号が反対の正電荷をもつ。陽子と中性子は、電荷以外の性質はほとんど同じで、またそれらの間に働いている相互作用の性質も同じである。そのためこの二つの粒子は、同じ基本実体である核子の二つの状態であるとみなせる。
核子間に働く力は、それらが集合体になったとき強い結合エネルギーを生み出す。核子間に働く核力は、湯川秀樹(ひでき)が提唱したπ(パイ)中間子をはじめとするさまざまの中間子の交換によるもので、強い相互作用の範疇(はんちゅう)に入る。また、陽子間にはクーロン相互作用が働く。中性子は陽子に比べて、電子の質量の約2倍だけ重いので、エネルギー的に、中性子は電子を放出して陽子に変わりうる。実際、裸の中性子はβ(ベータ)崩壊で陽子に変わる。その平均寿命は約17分である。裸の陽子の他の粒子への崩壊は観測されていない。
[池田清美]
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原子核の構成要素である陽子と中性子をまとめて核子という.陽子は正の電荷をもち,中性子は電荷をもたないが,質量はほぼ等しく(陽子は電子の1836倍,中性子は1838倍),核スピンはともに1/2である.原子核の理論では,陽子と中性子は一つの核子の陽子状態と中性子状態であるとみなし,その区別をアイソスピン(荷電スピンともいう)tの値ζが陽子状態では+1/2,中性子状態では-1/2であるとして取り扱われる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…原子の質量の大部分を担っている。生物学における細胞の核などと混同するおそれのない場合には単に核nucleusと呼ばれることもあり,原子核に関する用語には核力,核子など核を接頭語とするものが多い。原子核の電荷は,電子の電荷の絶対値をe,原子番号をZとしてeZで与えられる。…
…中性子はnで示される。また陽子と中性子は核子と総称され,Nで表される。
[π中間子とμ粒子]
電気的に中性の中性子がなぜ,原子核という小さな領域に閉じ込められているのであろうか。…
※「核子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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