根本(読み)コンポン

デジタル大辞泉 「根本」の意味・読み・例文・類語

こん‐ぽん【根本】

[名]《古くは「こんぼん」》
物事が成り立っている基礎になるもの。おおもと。「生き方根本にかかわる問題」「考え方根本から違う」「問題の根本は別のところにある」
物事のおこり。
「世の乱れ初めける―は」〈平家・一〉
[副]もともと。本来
末広がりといふは、―扇のことぢゃ」〈和泉流狂・末広がり〉
[類語](1大本おおもと大根おおねもと根元ねもと根底基底根基根幹基本本質大本たいほん根源本源基礎基盤基幹基部中心重要重点かなめ中軸枢軸主軸主体中枢中核基軸要石かなめいしキーストーン

ねもと【根本】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「根本」姓の人物
根本進ねもとすすむ
根本通明ねもとつうめい
根本陸夫ねもとりくお

ね‐ほん【根本】

京坂で、歌舞伎正本しょうほん脚本)のこと。
絵入り根本」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「根本」の意味・読み・例文・類語

こん‐ぽん【根本】

  1. ( 古くは「こんぼん」 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 草木の根。ねもと。もと。〔韓非子‐揚権〕
    2. 物事のおこり。また、大もとの原因。根源。
      1. [初出の実例]「故、其の相生ま令めし子の名を岐都禰(きつね)と号く。亦其の子の姓を狐の直と負ほす。〈略〉三野の国の狐の直等が根本是れなり」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    3. ものごとを成り立たせている、大もとのことがら。根底。
      1. [初出の実例]「桑麻は民の命の根本であるに」(出典:四河入海(17C前)一)
      2. [その他の文献]〔史記‐律書〕
    4. もとからあるもの。
      1. [初出の実例]「久世方手文之箱四合内、根本三合〈皮子一有之〉、新造一、都合四合分送進之候」(出典:東寺百合文書‐を・永享一〇年(1438)六月二九日・久世庄手文箱送進状)
    5. 基準となるもの。あるべき姿。標準。
      1. [初出の実例]「所詮於日本新鋳料足者、堅可之、至根本渡唐銭〈永楽・洪武・宣徳〉等者、向後可渡之」(出典:内閣文庫本建武以来追加‐明応九年(1500)一〇月)
  3. [ 2 ] 〘 副詞 〙 もともと。元来。
    1. [初出の実例]「於単趙信は根本こちのものぢゃが、あっちへいって、胡小王になったが」(出典:史記抄(1477)一五)
    2. 「根本、歌は恋路のなかだちに、たのむものにはあらず」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)

ね‐ほん【根本】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 歌舞伎や浄瑠璃の正本(しょうほん)をいう、京坂地方の語。
    1. [初出の実例]「是さきにいふ、京山本角太夫の根本なり〈正本を上方にては今も根本といふ〉」(出典:国町の沙汰(1674))
  3. えいりねほん(絵入根本)」の略。
    1. [初出の実例]「芝居の根本(ネホン)」(出典:洒落本・虚実柳巷方言(1794)中)

ね‐もと【根本・根元】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 根のもと。根のある部分。また、もののつけ根の部分。また、比喩的に柱などのもとの部分。こんぽん。
    1. [初出の実例]「おびたたし物をやうもなくねもとまでつきいれけり」(出典:古今著聞集(1254)一六)
    2. 「傾国共の髪の根(ネ)もとにさしたる」(出典:評判記色道大鏡(1678)三)
  3. 物事の基本。こんぽん。〔和英語林集成(再版)(1872)〕

ねもと【根本】

  1. 姓氏の一つ。

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普及版 字通 「根本」の読み・字形・画数・意味

【根本】こんぽん

大本。基本。〔顔氏家訓、勉学〕夫(そ)れ字なるは、(ふんせき)(古典)の根本なり。世の學徒、多くは字を曉(さと)らず。五經を讀む、徐(じよばく)(晋の人。五経音訓を作る)を是として、許愼(後漢の人。説文解字を著わす)を非とす。~書(反切など)は是れ其の枝にして、小學(文字学)は乃ち其の宗系なるを知らず。

字通「根」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「根本」の意味・わかりやすい解説

根本
ねほん

歌舞伎(かぶき)に関する書物の一種。江戸中期から後期にかけての京坂で、脚本の内容をアレンジして記載し、挿絵を加えて刊行したもの。絵入(えいり)根本ともいう。体裁は半紙本で7冊から10冊程度。本文は台帳(台本)と同様に台詞(せりふ)・ト書(とがき)・舞台書きなどからなり、挿絵は役者の似顔絵で、墨摺(すみずり)が主だが、まれに淡彩摺、極彩摺を用いる。安永(あんえい)・天明(てんめい)期(1772~89)に発生、文化(ぶんか)・文政(ぶんせい)・天保(てんぽう)期(1804~44)がもっとも盛んで、1873年(明治6)に終えた。なお、京坂では歌舞伎脚本を総括して「根本」とよんだこともあった。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「根本」の意味・わかりやすい解説

根本
ねほん

(1) 歌舞伎狂言本の関西での称。 (2) 絵入り根本の別称。多く京坂で版行された挿絵入りの歌舞伎狂言本で,多少の省略はあるが,形式は脚本と同じで,舞台書,せりふ,ト書から成る。大きさは半紙判で普通6~7冊,多いものは 10冊に及ぶ。挿絵は上方風の役者似顔絵で数葉入っている。安永6 (1777) 年刊の『伽羅先代萩 (めいぼくせんだいはぎ) 』が最初といわれるが,天明期から次第に発達し,化政期 (1804~30) に頂点に達し,明治初年まで百数十種が版行された。江戸では正本製 (しょうほんじたて) という脚本風に書いた草双紙が流行したが,根本はあまり刊行されなかった。

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世界大百科事典(旧版)内の根本の言及

【台帳】より

…上演の土台となる帳面の意である。清書されたものは正本(しようほん)ともいい,上方では根本(ねほん)ともいった。のちには台本ともいう。…

※「根本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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