こん‐ぽん【根本】
(古くは「こんぼん」)
[1] 〘名〙
※霊異記(810‐824)上「故、其の相生ま令めし子の名を岐都禰
(きつね)と号く。亦其の子の姓を狐の直と負ほす。〈略〉
三野の国の狐の直等が根本是れなり」
③ ものごとを成り立たせている、大もとのことがら。
根底。
※
四河入海(17C前)一「
桑麻は民の命の根本であるに」 〔史記‐律書〕
④ もとからあるもの。
※東寺百合文書‐を・永享一〇年(1438)六月二九日・久世庄手文箱送進状「久世方手文之箱四合内、根本三合〈皮子一有之〉、新造一、都合四合分送進之候」
⑤ 基準となるもの。あるべき姿。標準。
※内閣文庫本建武以来追加‐明応九年(1500)一〇月「所詮於
二日本新鋳料足
一者、堅可
レ撰
レ之、至
二根本渡唐銭〈
永楽・
洪武・
宣徳〉等
一者、向後可
レ取
二渡之
一」
[2] 〘副〙 もともと。元来。
※
史記抄(1477)一五「於単趙信は根本こちのものぢゃが、あっちへいって、胡小王になったが」
※
随筆・
戴恩記(1644頃)下「根本、歌は
恋路のなかだちに、たのむものにはあらず」
ね‐ほん【根本】
〘名〙
※国町の
沙汰(1674)「是さきにいふ、京山本角太夫の根本なり〈正本を
上方にては今も根本といふ〉」
※
洒落本・虚実柳巷方言(1794)中「
芝居の根本
(ネホン)」
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デジタル大辞泉
「根本」の意味・読み・例文・類語
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普及版 字通
「根本」の読み・字形・画数・意味
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根本
ねほん
歌舞伎(かぶき)に関する書物の一種。江戸中期から後期にかけての京坂で、脚本の内容をアレンジして記載し、挿絵を加えて刊行したもの。絵入(えいり)根本ともいう。体裁は半紙本で7冊から10冊程度。本文は台帳(台本)と同様に台詞(せりふ)・ト書(とがき)・舞台書きなどからなり、挿絵は役者の似顔絵で、墨摺(すみずり)が主だが、まれに淡彩摺、極彩摺を用いる。安永(あんえい)・天明(てんめい)期(1772~89)に発生、文化(ぶんか)・文政(ぶんせい)・天保(てんぽう)期(1804~44)がもっとも盛んで、1873年(明治6)に終えた。なお、京坂では歌舞伎脚本を総括して「根本」とよんだこともあった。
[松井俊諭]
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根本
ねほん
(1) 歌舞伎狂言本の関西での称。 (2) 絵入り根本の別称。多く京坂で版行された挿絵入りの歌舞伎狂言本で,多少の省略はあるが,形式は脚本と同じで,舞台書,せりふ,ト書から成る。大きさは半紙判で普通6~7冊,多いものは 10冊に及ぶ。挿絵は上方風の役者似顔絵で数葉入っている。安永6 (1777) 年刊の『伽羅先代萩 (めいぼくせんだいはぎ) 』が最初といわれるが,天明期から次第に発達し,化政期 (1804~30) に頂点に達し,明治初年まで百数十種が版行された。江戸では正本製 (しょうほんじたて) という脚本風に書いた草双紙が流行したが,根本はあまり刊行されなかった。
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世界大百科事典内の根本の言及
【台帳】より
…上演の土台となる帳面の意である。清書されたものは正本(しようほん)ともいい,上方では根本(ねほん)ともいった。のちには台本ともいう。…
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