(読み)アズサ

デジタル大辞泉 「梓」の意味・読み・例文・類語

あずさ〔あづさ〕【×梓】


ヨグソミネバリ別名。古くは弓を作るのに用いられた。 花=春》
キササゲの別名。
アカメガシワの別名。
梓弓あずさゆみ」の略。
梓巫女あずさみこ」の略。
《昔の中国1㋑を使ったところから》木版印刷に用いる版木。→上梓じょうし

し【梓】[漢字項目]

人名用漢字] [音]シ(呉)(漢) [訓]あずさ
〈シ〉
木の名。キササゲ。アズサ。「梓宮桑梓
版木。「上梓
〈あずさ〉「梓弓

し【×梓】

《もとあずさの板を使ったところから》印刷用の版木はんぎ

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精選版 日本国語大辞典 「梓」の意味・読み・例文・類語

あずさあづさ【梓】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物よぐそみねばり(夜糞峰榛)」の別名。従来、キササゲ〔大和本草〕、アカメガシワ〔物類称呼・本草綱目啓蒙〕、オノオレ古今要覧稿〕、リンボクをいうなどの説があったが、現在はヨグソミネバリが定説。材は非常に固く、古くこの木で梓弓をつくった。

▼あずさの花《 季語・春 》

  1. あずさゆみ(梓弓)[ 一 ]」の略。
    1. [初出の実例]「み雪降る 冬の朝は 刺楊 根張り梓(あづさ)を おほ御手に 取らしたまひて」(出典:万葉集(8C後)三三二四)
  2. あずさゆみ(梓弓)[ 一 ]」の略。
    1. [初出の実例]「梓(アヅサ)の弦にあらねども、水向けられて虚(うか)とは憑らず」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)三)
  3. あずさみこ(梓巫)」の略。
    1. [初出の実例]「ここに照日(てるひ)の巫(みこ)とて隠れなき梓の上手の候ふを請じ」(出典:謡曲・葵上(1435頃))
  4. 能楽で、口寄せとして登場する人物がとなえごとをうたう時に打つ、太鼓や小鼓のはやし。
  5. ( 昔、中国で梓を版木に使ったところから ) 梓の材を使った版木。また、一般に版木をいう。→梓に鏤(ちりば)む梓に上(のぼ)す

梓の語誌

( 1 )古代手紙を運ぶ使者は梓の杖を持ち、「玉梓(たまずさ)の使い」とよばれた。のち玉梓(玉章)は手紙そのものをさしていう。
( 2 )中国では梓の木を版木に用いたので、出版のことを上梓(じょうし)という。


し【梓】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物「とうきささげ(唐木豇豆)」の漢名。ヨグソミネバリに当てるのは誤用
  3. ( 古く中国で、梓(あずさ)の材を用いたところから ) 板木(はんぎ)。また、書籍の出版。〔康熙字典‐梓〕

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動植物名よみかた辞典 普及版 「梓」の解説

梓 (アズサ)

学名Betula grossa var.ulmifolia
植物。カバノキ科の落葉高木

梓 (キササゲ・アズサ)

学名:Catalpa ovata
植物。ノウゼンカズラ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

梓 (アズサ)

植物。トウダイグサ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物。アカメガシワの別称

梓 (アズサ)

植物。カバノキ科の落葉高木。ミズメの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報