棕櫚(読み)シュロ

デジタル大辞泉 「棕櫚」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ろ【××櫚/××梠】

ヤシ科の常緑高木。高さは5メートル以上になり、幹は直立し、枝がなく、のような毛で覆われる。頂上に群生する葉は長い柄をもち、手のひら状で大きい。雌雄異株。5、6月ごろ、淡黄色の小花を多数つけ、のち、青黒色球形の実を結ぶ。南九州の原産。材を書斎・亭などの柱や器物に、毛状の棕櫚皮を縄・たわしほうきなどに、葉を帽子・敷物うちわなどの材料に用いる。わじゅろ。すろ。 花=夏》
紋所の名。1の葉の開いた形を図案化したもの。
[類語]椰子ココ椰子棕櫚竹ラタン

す‐ろ【××櫚】

しゅろ(棕櫚)」に同じ。
「姿なけれど―の木、唐めきて」〈・四〇〉

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精選版 日本国語大辞典 「棕櫚」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ろ【棕櫚・椶櫚・棕梠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ヤシ科の常緑高木。九州の沿海地の原産で、今日では観賞用などに暖地で広く栽植される。幹は直立して高さ三~七メートルになり、棕櫚皮という黒褐色の繊毛のある古い葉鞘(ようしょう)に包まれる。葉は幹の先端に叢生し、長柄をもつ。葉身は径六〇~九〇センチメートルの扇形線形の裂片に深く裂ける。裂片の先端はとがり中脈をはさんで多くは二つ折れになる。雌雄異株。春、淡黄色の小花を多数密につけ、下部に大形の仏炎苞(ぶつえんほう)がある。果実は径約一センチメートルの球形で黒熟する。材は床柱・欄干・撞木(しゅもく)に用いられ、棕櫚皮の繊維で綱・敷物・箒・たわしなどを作る。漢名、棕櫚。わじゅろ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「椶櫚の葉にとまらで過る胡蝶哉〈梅餌〉」(出典:俳諧・曠野(1689)二)
  3. 紋所の名。の葉の開いた形を図案化したもの。棕櫚、抱き棕櫚、三つ割棕櫚などとその種類は多い。
    1. 棕櫚@抱き棕櫚
      棕櫚@抱き棕櫚
    2. [初出の実例]「麓には白旗中黒。栟櫚葉(シュロのは)梶の葉の紋書たる旗共、其の数満々たり」(出典太平記(14C後)三一)

す‐ろ【棕櫚】

  1. 〘 名詞 〙しゅろ(棕櫚)季語・夏 》 〔色葉字類抄(1177‐81)〕

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動植物名よみかた辞典 普及版 「棕櫚」の解説

棕櫚 (シュロ・スロ;シュウロ)

学名Trachycarpus fortuni
植物。ヤシ科の常緑高木,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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