植木鉢(読み)ウエキバチ(その他表記)flowerpot

翻訳|flowerpot

デジタル大辞泉 「植木鉢」の意味・読み・例文・類語

うえき‐ばち〔うゑき‐〕【植木鉢】

植木草花を植える鉢。

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精選版 日本国語大辞典 「植木鉢」の意味・読み・例文・類語

うえき‐ばちうゑき‥【植木鉢】

  1. 〘 名詞 〙 植木、草花を植えておく鉢。
    1. [初出の実例]「摺鉢に鉢巻させて植木鉢」(出典:雑俳・柳多留‐八〇(1824))

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改訂新版 世界大百科事典 「植木鉢」の意味・わかりやすい解説

植木鉢 (うえきばち)
flowerpot

開花時に任意の場所に持ち運べたり,鉢と草姿とのつりあいが芸術的に観賞できることなどの理由で,草花や花木がよく鉢植えにされる。古い時代には,木箱,桶,樽,塩鉢などの容器が使われていた。江戸時代の元禄(1688-1704)のころに園芸が盛んになってからは陶磁器が使われるようになったが,これは中国から渡来した陶磁器の影響を受けたもののようである。形や大きさは一定せず,朱泥,海鼠釉(なまこぐすり)のかかった鉢や青磁鉢が多かった。その後明治初年に園芸を生業とする人たちによって西洋鉢と呼ばれる素焼鉢も導入され,一般に普及するようになった。

(1)素焼鉢 粘土を原料として焼いたもので,多孔質で通気・排水性があるため,植物の根の発育がよい。キクアサガオの育成には熱を保持する黒鉢が好んで使われ,それ以外の植物には赤鉢が使われた。いずれも安価で入手しやすいが,重量がかかり破損しやすいので,軽量で堅焼きの駄温鉢や,釉薬(ゆうやく)をかんたんにかけたものも山野草の栽培に愛用されている。

 素焼鉢は新しいほど通気や排水がよく,古いものは泥がつき,コケなどが生じて素焼き特質が失われる。堅焼き,釉鉢はこの点で保水力もあり,泥を落としやすい。

 素焼鉢は普通円形が多く,育苗用には径6cmから9cm,12cm,15cmと3cmずつ大きくなり,30cmまでの製品が入手しやすい。鉢替えは6cmずつ大きくするのがよい。径6cm鉢をかつては2寸鉢と呼び,これを2号鉢,9cmを3号鉢と呼んでいる。貸植木用の鉢には径30~100cmの鉢がある。

 円形鉢の大きさは直径10に対して高さ8の割合につくられるのが普通であるが,浅いものは平(ひら)鉢と称し播種(はしゆ)や移植に用い,深いもの(径10に対し高さ10以上)は腰高(こしだか)鉢と称する。鉢の形は円形以外に方形長方形小判形,五角形,六角形などがあり,それぞれ山野草や盆栽などの栽培に使用される。

 特殊な鉢としては東洋ラン,山野草,盆栽,オモトなどに使われる香炉鉢などがあり,洋ラン用の鉢には鉢の周囲に穴をあけたものもある。

 通常,素焼鉢には鉢巻と称する桟があるのは,濡れたとき泥で手がすべらないためであるが,体裁もよい。また鉢底に穴があるのは排水と通気を図るものであり,上げ底は板や地上に置いても水がはけるようにするためである。

(2)ポット類 合成化学工業の発達により,第2次世界大戦後ビニルポット,硬質ビニルポット,プラスチックポットが,育苗や仕上用に利用されている。いずれも軽量で破損しにくく,輸送・格納に利点があり,素焼鉢のように側面からの通気がないが,用土の質と調製に留意すれば,植物の生育には支障はない。鉢底に粗大な鉢片や軽石の類を置き,みじんをふるい捨てた赤玉土やパーライト,バーミキュライトなどを混合して使用する。

 デンマークで開発されたジフィーポットjiffy potは泥炭とパルプを混ぜて圧搾した育苗鉢で,鉢壁をつき抜けて出た苗を次々と大きく鉢替えしてゆく。プラスチック鉢は着色が自由で陶磁器と同様の性質をもち,育苗には不向きであるが,仕上げおよび室内などの装飾鉢としての利用が多い。

(3)プランターplanter 生活と建築の様式の変遷に伴ってベランダやテラスあるいは街路で,硬質ビニル製のプランターが各種利用されている。ポット類に比べ,大型で持ち運びしにくいものがプランターと呼ばれているようである。植木鉢の数十倍の土量があるので,多くの苗や大型の植物も植えられるため,草花や家庭野菜なども栽培される。大きさは幅15~20cm,長さ50~60cm,高さ20cm程度のものが多い。底に目皿板と排水栓つきの受皿部分があり,給水も便利なので,屋上庭園や街路にも小花壇としての利用価値が高く,よく用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「植木鉢」の意味・わかりやすい解説

植木鉢
うえきばち

植木や草花などを植える容器となる鉢の総称で、ポットともいう。植え込む樹種や草花の種類によって観賞目的が異なるので、用いる鉢も形や材質が違ってくる。鉢の種類には次のようなものがある。植物の生育過程別にみると、種播(ま)きに用いる播種(はしゅ)鉢、栽培途中の仕立て鉢、仕立て上がると移す化粧鉢などがある。また、栽培する植物により、盆栽鉢、蘭(らん)鉢、万年青(おもと)鉢などがあり、形や線、色の優美さを求めることもある。素材別では土鉢、木鉢、プラスチック鉢(ビニル鉢)、コンクリート鉢のほか、野菜の育苗に用いる紙鉢(ペーパーポット)、泥炭やピートモスを材料としたジフィーポットなどがある。土鉢は普通、素焼鉢とよび、一部分または簡単に仕上げたものを駄温(だおん)鉢という。また、外側全体にうわぐすりを塗って焼き、光沢のある鉢を化粧鉢とよび、材質は陶器が多い。しかし鉢の外側に模様をつけたり、形にくふうを凝らしたプラスチック製のものも化粧鉢として扱っている。形による分類では丸鉢、小判、角鉢(四角形ないし八角形)、皿形などとよび、いずれも深浅の区別があり、普通の丸鉢でも腰高と平鉢に分けられる。一般的な植木鉢にはかならず底穴がある。産地による区別としては常滑(とこなめ)、瀬戸、信楽(しがらき)、有田などの名がある。外国鉢としては中国鉢が良質で、土質のよい南京(ナンキン)鉢、広東(カントン)鉢が有名である。最近は鉢物の利用が多様化し、栽培鉢以外にも、沿道や公園にフラワーボックスとして、あるいは家庭で装飾的に用いる吊(つ)り鉢、観葉植物鉢、テラリウムで楽しむガラス鉢などが用いられるようになった。

 鉢の大きさは、普通の素焼鉢は直径3センチメートル(1号)から大きなものは39センチメートル(13号)まであり、パンジー、サクラソウなどの草花では3~5号、サツキ、ボケなどの小花木では5~6号が多く用いられる。

 わが国の鉢の歴史は、江戸時代初期には木箱が使用され、土鉢などが用いられるようになったのは江戸時代中期にオモトや盆栽がつくられるようになってからともいわれる。

[堀 保男]

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百科事典マイペディア 「植木鉢」の意味・わかりやすい解説

植木鉢【うえきばち】

植物栽培用の鉢で,素焼の作り鉢と薬塗の盆栽鉢があり,また日本鉢(シナ鉢も含める)と洋鉢に大別される。日本では鎌倉時代ごろから,おもに盆栽に用いられた。洋鉢は洋式園芸のはいった1877年ころ以後使用されだし,製造されるようになったのは1897年ころからである。最近は軽量で破損しにくいビニルポットやプラスチックポット,硬質ビニル製のプランターなども広く使われている。
→関連項目ガーデニング

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世界大百科事典(旧版)内の植木鉢の言及

【園芸】より

…レーキと併せたホーレーキもある。(i)じょうろ 植木鉢への灌水に5l,3lのものが使われる。ごみよけの目皿のあるステンレス製のものがよい。…

※「植木鉢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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