植物(読み)しょくぶつ(英語表記)plant 英語

精選版 日本国語大辞典 「植物」の意味・読み・例文・類語

しょく‐ぶつ【植物】

〘名〙 木々や草花生物学では、生物を二大別したとき、動物に対する一群。一般に移動力を欠き、体制が比較的簡単であるなどの点で動物と区別できるが、下等な微生物では動物との区別が明瞭でないものもある。種子植物シダ植物コケ植物菌類・藻(そう)類・細菌類などに分類される。大部分細菌や菌類を除き、一般には葉緑素を含み、光合成によって独立栄養を営む。
菅家文草(900頃)二・黄葉「植物能如此、人生自可量」
西洋道中膝栗毛(1874‐76)〈総生寛〉一三「遊園は地球上にあらゆる植物(ショクブツ)動物を萃(あつ)め博物学者の考証に備へ」 〔周礼地官大司徒

うえ‐もの うゑ‥【植物】

〘名〙
① しょくぶつ。草木。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
② 畑に植える野菜類
近世、軍事上の目的で城内に植えた樹木
④ 連歌・俳諧の題材となる植物(しょくぶつ)の総称。三句以上連続して用いることはできないなど、使用にあたっての規定がある。
※連理秘抄(1349)「一、一座一句物。若菜。藤。款冬。躑躅。杜若。如此植物類」

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デジタル大辞泉 「植物」の意味・読み・例文・類語

しょく‐ぶつ【植物】

生物を大きく二大別した場合の、動物に対する一群。藻類など。一般に、1か所に固定して暮らし、細胞壁をもち、光合成を行って主に空気や水から養分をとって生きている生物。種子植物シダ植物コケ植物緑藻植物紅藻植物などに分類される。
[類語]草木そうもく草木くさき本草ほんぞう樹木じゅもくみどりプラント一木一草食虫植物観葉植物薬用植物高山植物帰化植物

うえ‐もの〔うゑ‐〕【植(え)物】

植物。草木。
畑に植える野菜類。
連歌・俳諧の題材となる事物の分類の一つで、草木・苔などの植物。
近世、軍略上、城郭内に植えた樹木。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「植物」の意味・わかりやすい解説

植物
しょくぶつ
plant 英語
plante フランス語
Pflanze ドイツ語

地球上の生物は動物、植物、菌類に大別されるが、植物とは、細胞壁を有し、独立栄養で光合成を行うことができる生物をいう。動物は細胞壁をもたず、従属栄養で栄養源は植物に依存しているし、菌類は細胞壁をもつが、もっぱら動植物に寄生し、生活のすべてをこれらの生物に依存している。このようにみると、植物は生物の栄養源として重要な役割を果たしているということができる。

[金井弘夫]

植物の特徴

植物の特徴は、細胞膜の外に細胞壁を生じることのほかに、無機物からエネルギー源となる有機物を合成する能力をもつことである。細胞壁は体制の簡単な植物体の保護に役だち、乾燥から守り、とくに陸上植物では植物体を支えるために働いている。陸上植物の細胞壁はおもに多糖類のセルロースであるが、藻類ではマンナン、グルカン、アルギニン酸、寒天質などの細胞壁をもち、セルロースを欠くものもある。光合成においては、植物細胞の原形質に含まれる色素体が重要な役割を果たしている。この色素体には、子葉や貯蔵器官にあって貯蔵デンプンをもつアミロプラスト、トマトの果実やニンジンの根に含まれる橙(とう)色の有色体、ダイコンにあるクロロフィルを欠く白色体、緑の葉にあるクロロフィルをもつ葉緑体などがある。葉緑体の微細構造は種子植物、コケ植物、藻類でそれぞれ特徴があり、高等植物の葉緑体はラメラとグラナの分化が著しい。植物の細胞には、原形質とははっきりと仕切られた液胞がある。液胞はとくに成熟した細胞にあり、若い細胞や老化したものにはみられない。液胞の中の細胞液には無機イオン、多糖類、タンパク質、アミノ酸、さらに有毒植物の場合には毒の本体となるアルカロイドや配糖体が含まれる。植物の成長は、古い細胞に新しく分裂した細胞が積み重なることによるもので、胚(はい)から生じた幼植物でも、すでに細胞分裂が行われる部分は限定されている。細胞分裂を盛んに行うのはおもに茎や根の先端にある成長点、茎の維管束にある維管束形成層、樹皮の内側にあるコルク形成層などである。このような成長点や二次分裂組織が活動を続ける限り、植物は無限に成長し続ける。この点で植物は動物と大きく異なっている。

[金井弘夫]

分類

植物の分類が学問的体系を整えたのは18世紀のリンネの時代からである。リンネは、植物の生殖器官の特徴、とくに雄しべの数によって種子植物の分類を試みたが、これは人為的な分類法であった。19世紀になってダーウィンの進化論が発表されると、系統の概念に基づいて、単一の形質だけでなく、生活型、形態、遺伝、生態などの特徴を多面的、総合的にとらえた系統分類が行われるようになった。現在、日本では高等植物の分類体系はドイツのエングラーによるものが広く用いられているが、ほかにイギリスのハッチンソンJ. Hutchinson、アメリカのベッシーC. E. Bessey、クロンキストA. Cronquist、ソ連のタクタジャンА.Л.Тахтажян/A.L.Tahtazhyanらの分類体系も参考にされている。藻類の分類体系に貢献したのはパシャーA. Pascherである。

 高等植物の分類の基準となる形質は生殖器官、すなわち花であるが、下等植物のうち、とくに藻類の分類では、生殖細胞の鞭毛(べんもう)の構造、細胞壁の主要構成成分、同化色素、同化貯蔵物質などが重要な分類形質となる。以下に植物の分類を示す。

(1)第1門 藍藻(らんそう)植物門Cyanophyta 原核植物で、核物質は核膜に囲まれないで存在する。有性生殖を行わず、分裂で無性的に増殖する。単細胞体、糸状体などの体制をもつ。細胞壁はおもにムコペプチドからなる。同化色素はクロロフィルaのほかにタンパク色素のフィコビリンを含み、これが藻体を藍(あい)色にみせている。同化産物はグリコーゲンである。藍藻粒、油脂などを貯蔵物質とする。水生のものが多いが、地衣類と共生するものもある。現在わかっている種はユレモ、ネンジュモ、スイゼンジノリなど約1400種である。

(2)第2門 紅色(こうしょく)植物門Rhodophyta 体制は多細胞の糸状、紐(ひも)状、葉状を示す。細胞壁はセルロースのほかにマンナン、キシランもわずかに含む。同化色素はクロロフィルaとdのほかにフィコシアニンなどの紅色色素も含むので赤くみえる。同化産物は紅藻デンプンである。生殖細胞は鞭毛をもたないので、他の鞭毛をもつものより原始的段階にあるとみられる。多くは海産で、テングサ、アサクサノリ、カワモズクなど約4000種が記録されている。

(3)第3門 黄色(おうしょく)植物門Xanthophyta 不動性の単細胞、群体、糸状体などの形態をもつ。鞭毛は1本、2本、3本とさまざまである。同化色素はクロロフィルa、c、eのほかキサントフィル。同化産物は炭水化物の一種クリソラミナランなどである。細胞壁はセルロースで二重になるものが多い。ヒカリモ、ケイソウ、フウセンモなど約1万種が記録されている。

(4)第4門 橙色(とうしょく)植物門Pyrrophyta 単細胞で、運動性のものは不等長の鞭毛をもつ。無性的に二分裂法により増殖する。同化色素はクロロフィルaとc、カロチン、キサントフィルを含み、黄色を帯びる。同化産物はデンプン、油脂などである。海水に多く、異常増殖により赤潮現象をおこす。ヤコウチュウ、ムシモ、ツノモなど約1000種が知られている。

(5)第5門 褐色植物門Phaeophyta 多くは肉眼でわかる大きさの藻類で、見かけは根、茎、葉に分化するものがある。細胞壁はセルロースである。同化色素はクロロフィルaとc、フコキサンチン、カロチンである。貯蔵物質はラミナラン、油脂、マンニトールなどである。有性世代と無性世代の交代がはっきりしている生殖法を行う。海産種がほとんどで、とくに寒海域に分布するものに食用とされるものが多い。コンブ、ワカメ、ホンダワラなど約1500種が現生する。

(6)第6門 ミドリムシ植物門Euglenophyta 単細胞体で鞭毛をもつ。同化色素はクロロフィルaとb、カロチン、キサントフィルを含む。体の先端に光を感じる眼点がある。細胞壁をもたず、運動性があることなどは動物的である。二分裂法による無性生殖が知られている。有機物の多いたまり水に繁殖すると、全体が緑色となる「水の華(はな)」とよばれる現象をおこす。ミドリムシ、コラシウムなど約400種が知られている。

(7)第7門 緑藻(りょくそう)植物門Chlorophyta 藻体はさまざまな形をとり、単細胞のものから、仮根のようなもので着生する糸状体、葉状体などがある。多くは淡水産で、ときには陸上の岩石、土壌、樹皮上にも生育する。同化色素はクロロフィルaとb、カロチン、キサントフィルで、デンプンを貯蔵する。生殖法は有性世代と無性世代を交代するものが多い。葉緑体の構造、同化産物、細胞壁の主要構成成分などは陸上植物との類縁を示す。アオミドロ、ボルボックス、カワノリなど約5000種がある。

(8)第8門 車軸藻(しゃじくも)植物門Charophyta 外形はスギナに似て、肉眼で見える大きさの藻類である。葉緑体、同化産物など多くの点で緑藻植物に似るが、栄養体の成長法、生殖器官の構造は異なる。細胞壁はセルロースで、外層はクチクラからなり、さらに外には石灰質が沈着するので固く、化石として残りやすい。同化色素はクロロフィルaとb、カロチン、キサントフィルで、デンプンを貯蔵する。生殖は卵と精子による有性生殖を行う。造卵器は多細胞である。淡水産で、シャジクモ、シラタマモ、フラスモなど約200種ある。

(9)第9門 コケ植物門Bryophyta 蘚類(せんるい)と苔類(たいるい)に分けられる。蘚類は単相の配偶体をもち、茎、葉の分化がみられ、根は仮根で高等植物の根毛状である。ときには通道組織として道束をもつ。複相の胞子体は小形で光合成能力もほとんどなく、栄養は有性世代に寄生的に依存する。一方、苔類では背腹性のある配偶体は葉状を呈し、茎と葉の分化はない。葉緑体は小形でピレノイドをもたない点でも蘚類とは異なる。コケ植物は、緑藻植物とシダ植物などの陸上植物との中間的形質を示す植物である。蘚類にはミズゴケ、スギゴケなど、苔類にはゼニゴケ、ツノゴケなどがあり、その数は2万種を超えている。

(10)第10門 シダ植物門Pteridophyta 陸上植物のうち、維管束をもつが種子の形成をみない段階の植物をいう。まれに水中に生育するものがある。古生代初期のころから陸上性のシダ植物の化石が発見されており、陸上植物の祖先的存在とみられる。日常見慣れているシダは複相の胞子体で、シダの生活史の大部分はこの胞子体で営まれている。胞子体は茎、葉、根が分化するが、根は不定根で、なかには退化したものもある。茎には木部と篩部(しぶ)をもつ維管束が発達し、普通の木部には仮道管がある。シダ植物の葉には大葉と小葉、輪葉のタイプがある。大葉は種子植物でもみられるもので、葉へ入る維管束が茎の中心柱から分かれるときに葉隙(ようげき)を生じる。ヒカゲノカズラなどにみられる小葉では、葉へ入る維管束は茎に葉隙を残さない。スギナやトクサにみられる輪葉は、節(せつ)に輪生する葉へそれぞれ1本の葉跡が茎の中心柱に向けて葉隙を残さずに入る。シダ植物の配偶体は、胞子が発芽して生ずる前葉体で、単相である。小さくて寿命の短い前葉体には多細胞の造卵器と造精器を生じる。精子には鞭毛がある。大葉をもつシダ植物は正月の飾りにされるウラジロ、食用にされるワラビなどがある。約1万種が知られている。

(11)第11門 種子植物Spermatophyta 種子をつくる維管束植物である。複相の胞子体がよく発達し、茎、葉、根が分化する。茎は維管束形成層による二次成長を行う。葉は形態的に多様で、単葉、複葉、ときには刺(とげ)や巻きひげにも変態する。根の先端には単細胞の根毛が発達し、吸収器官として効率のよい形態をとる。花はそれ自体、まとまった生殖器官を形成している。裸子植物の花は花被(かひ)がなく、鱗片(りんぺん)上に胚珠が裸出している。被子植物には目だった花被があり、多くは花弁と萼(がく)に区別できる。胚珠は子房に包まれる。裸子植物と被子植物は多くの点で異なるため、それぞれ被子植物亜門、裸子植物亜門に区別される。現生種でみると、裸子植物亜門は約800種、被子植物亜門は20万~30万種とされる。被子植物は、現在、陸上でもっとも優勢な植物群といえる。

[金井弘夫]

形態

植物には単細胞体、多細胞体の両様があるが、多細胞体でも、その体制は動物に比べて簡単で、組織の分化も単純である。植物体では栄養器官と生殖器官を区別することができる。ミドリムシのような単細胞体や、ユレモなどの下等な多細胞体の植物では、生殖器官も単細胞で、とくに分化がみられない。このような植物では1個の細胞内によく発達した小器官が認められ、これが養分の同化、分泌、貯蔵などに働いている。これら植物の光合成色素体の微細構造は分類群の特徴となっている。一方、高等植物、とりわけ陸上植物では、それぞれ器官や組織が分化している。

[金井弘夫]

栄養器官

栄養器官は、地上部に伸びる茎、光合成を行う葉、養分を吸収し植物体を支える根からなっている。茎は頂端部で盛んに細胞分裂を行い、そこに葉を側生する。茎の内部構造では、木部と篩部からなる維管束、およびその内側中心部に髄、外側を囲む皮層と表皮が認められる。種子植物の維管束には形成層があり、二次的に肥大成長するものが多い。しかし、シダ植物にはこのような維管束形成層はないし、コケ植物では維管束のかわりに、茎の中心に伸長した細胞群からなる道束が認められる。茎から生じる枝は葉腋(ようえき)にできる芽の伸びたものであるが、ときには茎ではなく、直接根(サツマイモ)や葉(コモチマンネングサ)から生じる不定芽もある。コケ植物やシダ植物では枝は葉腋から分枝しないで、茎の頂端分裂組織で二又分枝するのが普通である。茎は地上部を支え、物質の運搬、貯蔵を行うが、ときには本来の形態と著しく違う形を示すことがある。ジャガイモの根茎、タマネギの鱗茎、ワラビの地下茎、ブドウの巻きひげ、ナギイカダの葉などは、いずれも茎の変態したものである。

[金井弘夫]

葉は茎頂近くから発生する。葉の原基が生じると周縁分裂組織の活動や介在成長によって平面的な葉がつくられる。葉の表面には気孔が分布し、ここでは二酸化炭素や水蒸気などのガス交換が行われる。表皮の内側をつくる葉肉は、葉緑体を含む柵(さく)状組織と細胞間隙の多い海綿状組織に分化しており、光合成の場となっている。維管束は茎から連続して葉に入り、水分や養分の運搬を行う。葉の外形は葉身、葉柄、托葉(たくよう)などの部分に区別されるが、葉柄や托葉がなく、かわりに葉鞘(ようしょう)となることもある。葉身は縁に鋸歯(きょし)をもつもの、小葉に分かれて複葉となるもの、ネギのように円筒状をした単面葉のもの、ハスのような楯(じゅん)状葉など、さまざまな外形がある。子葉は胚につくられる最初の葉で、普通葉と異なる形態を示し、冬芽を包む鱗片葉、花芽を覆う包葉などとともに異形葉とよばれる。花を構成する各部分は雄しべ、雌しべを含めてすべて葉の変態である。サボテンの針葉、ウツボカズラの嚢(のう)状葉、サンショウモの根状葉なども葉の変態したものである。

[金井弘夫]

根は茎と同様に根端とよばれる頂端分裂組織によって伸長し、先端部は根冠とよばれる細胞群で保護されている。根の表皮には単細胞の根毛が分化し、水や無機塩類の吸収を行う。根には中心柱を囲む1層の細胞層(内皮)があり、吸収した物質の取捨選択を行うとされる。内皮と維管束の間の柔細胞の部分を内鞘といい、側根や根の形成層をつくる分裂組織である。維管束配列は茎とは異なり、木部と篩部が交互に並ぶ放射中心柱である。主根以外の茎や葉に生ずる根を不定根という。根から芽を生じることはあるが、直接葉を生じることはない。根は地中で植物体を支え、水や養分を吸収する役割をもつが、それ以外の役割をもつものも多い。サツマイモの貯蔵根、タコノキの気根、ヒルギの呼吸根、キヅタの付着根などがその例といえる。

[金井弘夫]

生殖器官

生殖器官をみると、種子植物では複雑に分化した形態を示し、花をつくる。シダ植物におけるヒカゲノカズラなどの胞子嚢は花と相同するという意見もあるが、一般にはこれを花とはみていない。種子植物の花は、胚珠(シダ植物の前葉体に相当する部分)を生じる有性生殖器官であり、胚珠を保護する心皮、花粉を生じる雄しべ、これらを覆い囲んでいる花弁や萼などによってその祖先をたどると、葉の変態としてとらえることができる。被子植物の花には単生花、花序をつくる花、左右相称花、放射相称花、有花被花、無花被花などさまざまな外部形態をもつものがあり、これは種を区別する重要な特徴である。また、両性花、雄しべか雌しべのいずれかを欠く単性花、子房の位置、雄しべの数と配列なども、分類するうえでの特徴となっている。このほか、果実、種子の形、分裂細胞にみられる染色体の数や形なども、高等植物の分類においては役だつ資料となる。

[金井弘夫]

生理

植物は原則として動物のように移動できないため、生活は環境に依存することになる。この環境に適応するということから、植物には特有の生理現象がみられる。光合成、水や無機塩の吸収と移動、同化産物の貯蔵、窒素や炭水化物の代謝などがそれであり、植物はこれらの作用を行いつつ発芽、成長、分化、老化、死という生活環を完結している。植物の生活環の始まりは受精卵から成長した胚であり、種子の中で子葉、幼根、胚乳などを分化する。種子の段階では、成長は一時的に停止して休眠に入り、呼吸などの生理作用も不活発になる。この休眠は植物の環境に対する適応の一つで、樹木の芽、ジャガイモの塊茎、チューリップの鱗茎などでもみられる。休眠中の種子の発芽は吸水に始まり、まず幼根を下方へ伸ばす。このとき、水分条件のほかに温度、酸素、光などの諸条件の影響も大きい。発芽が始まると、貯蔵器官である胚乳、子葉に含まれる物質が分解され、成長のエネルギー源とされる。成長と分化はほとんど同時に行われる。分裂能力をもつ細胞はすべて分化する能力をもっており、芽と根の分化はホルモンのオーキシンとアデニン誘導体のバランスによって決められる。普通、オーキシンが多いと根が分化し、サイトカイニンが多いと芽が分化する。また、花芽の分化は日長の影響を受ける。植物には、日長が長くなると花芽を分化する長日植物(コムギ、ホウレンソウ、ダイコン)、日長が短くなると花芽を分化する短日植物(イネ、キク、アサガオ)のほか、日長に関係がない中性植物(タンポポ、トマト、キュウリ)などがある。植物体の各部分は成長とともにしだいに機能が低下し、やがて成長速度がゼロになる。これを老化といい、老化の時期は葉、茎、根などで異なっている。それぞれの時期が異なるのは、各器官が互いに影響しあうためである。たとえば、葉の老化は茎頂分裂組織の活性だけでなく、根の存在も関係している。つまり、根で生産されたサイトカイニンは葉へ運ばれ、葉の老化を防ぐ働きをするわけである。このように植物の成長、分化、老化はホルモンのバランスによって調節されている。

 植物の成長、分化に必要な養分は無機物から合成される。この無機物から有機物を合成する仕組みを光合成という。光合成は植物だけにみられる生理作用で、細胞内の葉緑体は光エネルギーによって水を分解し、生じた水素と大気中の二酸化炭素を酵素反応で結合させて炭水化物を合成する。この炭水化物と窒素、リンなどの無機塩類は細胞内で結合されて、アミノ酸、タンパク質など、原形質に含まれる有機物に変えられる。このため、植物は光合成で生産された炭水化物以外にも窒素、リン、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄などの元素を必要とし、これらの一部が不足しても成長は不完全となる。これらの無機塩類は、水に溶けた状態で根からイオンの形で吸収される。根における吸水の機構は、隣接する細胞との濃度差がおこす拡散流と呼吸エネルギーを使って行われる。根から吸収された水は、葉の気孔や木の皮目(ひもく)から水蒸気として蒸散する。水が蒸散すると、葉の葉肉組織の細胞の拡散圧が高まり、水はさらに道管を通じて移動していく。水に溶けた無機イオンもこの蒸散流によって運ばれる。植物が合成したり、根や茎に貯蔵した同化物質も水などとともに移動する。同化産物のうち、炭水化物はブドウ糖、ショ糖としておもに篩管を通る。また、上方の葉で生成された物質は茎の若い成長部へ、果実をつけた枝の物質はすべてこの果実へ移動する。根へは茎の下部の葉で生産された物質が供給される。さらに植物が生成した有機窒素化合物は、グルタミン、アスパラギンなどとなって道管を蒸散流にのって移動する。この同化物質の移動においては、葉で生産されたものがそのままの状態で運ばれる場合と、ふたたび分解されて運ばれる場合とがある。

 植物は光合成によって生産された養分を栄養源とし、これを分解して成長、分化のエネルギーとする。この生理作用をつかさどるのが呼吸であり、高等植物の行う効率的エネルギー生成は酸素呼吸である。植物の酸素呼吸は動物と共通の生理作用で、ブドウ糖を酸化して水と二酸化炭素に分解してATP(アデノシン三リン酸)を生産する。このATPは植物の成長、分化にエネルギーとして利用される。植物の成長、分化の生理機構のなかでは、さまざまな植物ホルモンが重要な役割を果たしている。たとえば、果実の成熟を促す植物ホルモンとしてエチレンなどがあるが、これらは植物形態の変化に生理的な影響を与えているといえる。

[金井弘夫]

分布

植物の生育場所は種属によって決まっている。これは、植物の生育が、光、温度、水などの環境条件を必要とするためである。また、地形、地史、気候の変動、種子散布能力、栄養要求の差などによっても自生する植物の分布域が決まってくる。狭い地域にのみ分布する植物を固有種という。日本で約4000種の自生する植物のうち、約300種が固有種であり、スギは日本の代表的固有種の一つである。一方、広く世界中に分布している植物を広布種という。種子植物のうち、世界の陸地面積の半分にわたって広く分布する広布種は約30種である。もっとも広く分布する植物にアシがあり、南アメリカのアマゾン流域を除く世界各地に分布する。植物の分布の見方には二つの方法がある。一つは植物の種属の構成に基づく「フロラ分布」で、他の一つは植物の生育環境を重視した「生態分布」である。フロラ分布は植物分類学的、植物誌的に植物の分布を研究し、生態分布は植物生態的、植物地理的に分布を理解しようとするものである。

 世界各地の植物の分布を種属ごとに比較すると、特色ある植物の分布域が認められる。これを植物区系といい、世界各地を大きく6区域に区分することができる。このような植物区系は生態的な気候条件よりもその地史に影響されるところが大きい。たとえば、同じ熱帯降雨林であっても、ニューギニア島と南アメリカのアマゾン流域ではフロラの構成要素が著しく異なるので、別の植物区系として扱われている。以下、植物区系について触れる。

(1)全北区系(全北区系界) 熱帯を除く北半球の大部分を含む。代表種にはマツ、ヤナギ、クリ、サクラ、カエデ、ユリがある。全北区系は気候や構成種によってさらに細分化され、日本は中国南部からヒマラヤまでつながる日華区系区に属する。

(2)旧熱帯区系(旧熱帯区系界) 旧大陸の熱帯、ハワイ付近の南太平洋地域を含む。代表種はコショウ、フタバガキ、タコノキ、バナナ、ヤシである。

(3)新熱帯区系(新熱帯区系界) メキシコ以南の新大陸全域。ただしパタゴニア地域は除く。代表種はサボテン、オオオニバス、パイナップル、カンナ、リュウゼツランなどである。

(4)オーストラリア区系(オーストラリア区系界) オーストラリアとタスマニア島を含む地域である。代表種はアカシア、ユーカリ、バンクシアなどである。

(5)ケープ区系(ケープ区系界) アフリカの南端のごく狭い範囲だが、アフリカ大陸の他の地域とは異なる特徴的フロラをもつ。代表種はエリカ、アロエ、マツバギクなどである。

(6)南極区系(全南区系界) 南アメリカ大陸の南端、南温帯太平洋や南インド洋の島、ニュージーランド、南極大陸を含む地域である。代表種はナンキョクブナである。

 なお、生態学的にはこの六つの植物区系を、さらに三つの群にまとめることもある。すなわち、(1)をそのまま「全北区系界群」、(2)と(3)をまとめて「熱帯区系界群」、(4)~(6)をまとめて「全南区系界群」とする方法である。

 日本の植物区系の区分については、まだ定説がない。その理由としては、日本の植物相が変化に富み、地史的にも分布のうえからも、さまざまな要素が重なって複雑な様相を示すことがあげられる。また生態的、気候的な分布のうえからみても、日本は山国であり、緯度の違いによる水平的植物分布と海抜高度の違いによる垂直的植物分布が入り組んでいることも分類を困難にしている理由の一つである。このため、ここでは、気候的植生と一致する分布域を示す種類を基準とした生態的区分を示すにとどめる。

(1)ウバメガシ群団 暖温帯に属する気候に分布し、九州、四国、紀伊半島の一部から亜熱帯の要素も加わる沖縄まで含まれる。代表種としてはスダジイ、タブノキ、シイノキがある。

(2)クリ群団 九州から関東地方にかけての低地、低山帯を含む地域に分布し、代表種としてはクリ、ツガ、マツ、コナラ、クヌギ、シデ類などの暖帯落葉樹が多く、温暖地の常緑樹林と冷温地のブナ林の中間にみられるものである。

(3)ブナ群団 日本中部の山岳地帯、東北地方に分布域をもち、日本の植物相のなかでも、もっとも特徴的なものである。日本に分布する固有種の大部分はこの地域に含まれる。代表種はブナ、ミズナラ、カエデ、トネリコ、ハルニレ、シナノキなどであり、固有種ではヤマグルマ、カツラ、フサザクラ、コブシ、シラネアオイなどがある。

(4)トドマツ群団 日本中部以北の亜高山帯、北海道に分布域をもち、亜高山針葉樹林帯をつくる。気候的には寒帯下部に属する。代表種にはドロノキ、ケショウヤナギ、ダケカンバ、ツルツゲ、オガラバナ、ツバメオモト、タカネナナカマド、ジンヨウイチヤクソウなどがある。

(5)ハイマツ群団 日本中部の高山帯と北海道の高山帯にみられ、寒帯に属する。ハイマツ、ガンコウラン、コケモモなどの低木のほかに、高山のお花畑を埋めるハクサンイチゲ、シナノキンバイ、クロユリ、コバイケイソウ、コマクサ、チョウノスケソウなどが生育している。

 いずれにしても、このような植物の分布については、種の分化の問題を含んでいるため、今後の種属誌的研究の成果に期待する面が多い。

[金井弘夫]

植物と人間

人類の植物利用の歴史は古い。人間は有史以前からその生活を維持していくために植物を利用し続けて今日に至っている。現在でも有用植物の利用は広く各方面に及んでおり、とくに食用としての依存度は大きい。化学合成技術の発達は、人間生活における植物への依存度を軽減したが、それでもなお、植物の重要性は失われていない。人間の歴史の初期のころは、食糧を採集と狩猟によって得ていたが、やがて定まった土地に住居をつくり、火を用いる生活が行われるようになると、人間は採集した木の実や種子の食べ残しなどから、芽が伸び、実がなることを知った。やがて住居近くに種子を播(ま)いて、自然に芽が出るのを期待するようになる。これが栽培の始まりである。初期の栽培植物の特徴は、一つのものが多目的に利用されたということである。

 たとえば、クワ科の一年草であるアサは、中央アジア原産で、ペルシアでは紀元前2000年には栽培されており、繊維植物、薬用植物、香辛植物とされ、良質の油もこれから得ていた。また、中国では、家の周りに野生するクワの果実は食用に、葉はカイコの餌(えさ)に、材は細工用に、また根からは黄色染料をというように多目的に利用してきた。熱帯地方の海岸に広く分布するココヤシも多目的に利用されるものの一つである。種子からとれるココナッツミルクは養分に富んだ飲み物とされるほか、胚乳の「コプラ」とよばれる部分から油をとり、果肉の繊維部分はロープ、マットなどに使われる。また、ココヤシの葉で屋根を葺(ふ)き、開花前の花序の軸を切って得られる樹液からやし糖、やし酒もつくられる。このように多目的に利用される植物も、初めは食用としての利用がなされ、その後しだいに多くの利用法がくふうされたわけである。

 コムギはイネとともにユーラシア大陸の栽培植物としてはもっとも古いものであり、イラク東部からは前7000年ころの炭化したコムギがみつかっている。現在、イネやコムギは南極大陸以外のあらゆる所で栽培されている。また、トウモロコシとジャガイモはアメリカ大陸原産の代表的な栽培植物である。前5000年のメキシコ遺跡からは、もっとも古いトウモロコシの野生株がみつかっている。両植物は15世紀以降、世界各地に広まり、現在は食用、飼料として広く栽培されている。このほか、マメ類は一般にタンパク質に富み、種子の水分含量が少なく貯蔵性があることから、重要な食用作物となっている。栽培されるマメ類は、おもに温暖帯性の一年生のものである。

 植物は薬用としても利用されるが、その歴史は古い。薬用植物にはアルカロイド、配糖体などの有毒成分を含むものが多いが、人間はその毒性を病気の治療に有効に活用してきた。古代エジプトにおいては、すでにケシから得られるアヘンの麻酔性が知られており、苦痛を和らげる薬として、これを利用していた。また、アイヌが「熊(くま)狩り」に矢毒として用いたトリカブトは猛毒をもつが、古代中国では、少量を用いれば神経痛の薬、強心剤、血圧降下剤として効果があることを知っていた。現在多くの医学的治療に用いられているステロイド系物質のコーチゾンは、リウマチ性関節炎の治療や、合成女性ホルモンとして避妊用ピルに用いられるが、最近ではヤマノイモ属やリュウゼツラン科の植物から大量に得ることが可能となった。

 さらに植物は、工業用に盛んに利用されている。木材は建材、装飾具、器具などに多用されている。木材を酸欠状態でゆっくりと炭化させたのが木炭である。材を砕いて加熱し、これによって生じる蒸気を集めるとメタン、水素ガス、メチルアルコール(木精)、酢酸などが得られるが、これは木材を構成する多糖類のセルロースが分解するためである。松柏(しょうはく)類の材には松脂(まつやに)を含むが、これを蒸留するとテレビン油が得られる。野球の投手が滑り止めに用いるロジンはこの蒸留で残った成分である。これら木材の細片は木材パルプとして紙をつくるが、さらにこれを化学処理するとレーヨンやプラスチックとなる。木材パルプのセルロースから生産されるプラスチックをセルロイドという。セルロイドは燃えやすい欠点があるため、最近ではさらに化学処理を加えて不燃性のセルロースアセテートとし、写真フィルムなどに用いられている。人造皮革も植物からつくられる。これは、木材セルロースの硝酸塩とトウゴマの種子からとれるひまし油を結合させたものである。このほか、植物は、染料、飲料用、嗜好(しこう)用など、さまざまな分野に利用され、人間の生活に物質的豊かさを与えてくれている。最近では、森林の樹木から発生する気体成分が健康保持に役だつとして注目されている。

[金井弘夫]

『相見霊三・朝比奈正二郎他編『現代生物学大系』全14巻(1985・中山書店)』『井上浩著『植物学入門講座』全6巻(1980・加島書店)』『小野知夫著『基礎植物学』(1954・裳華房)』『山岸高旺編『植物系統分類の基礎』(1974・北隆館)』『佐竹義輔著『植物の分類・基礎と方法』(1964・第一法規)』『井上浩編『植物系統進化学』(1974・築地書館)』『館岡亜緒著『植物の種分化と分類』(1983・養賢堂)』『河野昭一著『植物の進化生物学Ⅱ 種の分化と適応』(1974・三省堂)』『原襄著『植物の形態』増訂版(1984・裳華房)』『熊沢正夫著『植物器官学』(1979・裳華房)』『沼田真編『植物生態の観察と研究』(1978・東海大学出版会)』『沼田真編『生態の事典』(1976・東京堂出版)』『桜井英博他著『植物生理学入門』(1980・培風館)』『清水碩著『植物生理学』(1980・裳華房)』『朝日新聞社編・刊『朝日百科 世界の植物』(1978)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「植物」の意味・わかりやすい解説

植物
しょくぶつ
plant

生物界を分けたとき動物と対立する大きな一群。古くアリストテレスが生物を分類して植物,動物,人間とした。植物には栄養をとり,生殖する働きがあり,動物はそのうえに感覚を有し,人間はそのうえに理性を有するというような属性を定義している。その後 18世紀頃までは植物はこのような考え方のもとにおかれたままであった。しかし,顕微鏡の発明によって微小な生物が明らかにされるようになるとともに,生理学的研究からは植物のもつ光合成作用が動物にはないというような点が知られるようになって,植物の内容は草や木にとどまらず広げられるようになった。そしてそれに伴い菌類や細菌類は植物のなかにおかれるようになってきた。最近,菌類は代謝系からみても形態や生活史からみても,たまたま藻類が退化してできたものと単純に決められないようになり,これを生物の第三界として考える意見が強くなってきた (→菌学 ) 。これに従うと,植物とは高等なものとしては草や木を含む種子植物をはじめとして,シダ植物,コケ植物のほかに,緑藻類 (接合藻類,車軸藻類ともいう) ,褐藻類 (ケイ藻類ともいう) ,紅藻類を含み,特に原始的な形態をもつものとして鞭毛藻類,藍藻類などをこれにつけ加えた生物群をいうことになる。

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普及版 字通 「植物」の読み・字形・画数・意味

【植物】しよくぶつ

草木の類。漢・張衡〔西京の賦〕繚垣(れうゑん)綿聯(めんれん)として四百餘里、植物斯(ここ)に生じ、動物斯に止(を)り、衆鳥(へんぱん)たり、群獸(ひし)たり。

字通「植」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「植物」の意味・わかりやすい解説

植物【しょくぶつ】

動物とともに生物界(生物)を構成する一群。特徴としては,細胞がセルロースなどでできた細胞壁でおおわれること,細胞内に葉緑素を含み,無機物から有機物を合成し得ること,発生の際に1次生長を行う部分が軸の両端部に限られ,しかもその生長が連続的,かつ無限の能力をもっていることなどがあげられる。かつては,細菌や菌類も植物に含めていたが,現在では,生物を動物,植物,菌類の3界,あるいはこれに原生生物とモネラ類を加えた5界に分ける説が有力である。

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世界大百科事典 第2版 「植物」の意味・わかりやすい解説

しょくぶつ【植物 plant】

生物界を動物と植物に二大別するのは,常識の範囲では当然のように思えるが,厳密な区別をしようとするとさまざまな問題がでてくる。かつては生物の世界を動物界と植物界に二大別するのが常識だったが,菌類を第三の界と認識すると,それに対応するのは狭義の動物(後生動物),狭義の植物(陸上植物)ということになり,原生動物や多くの藻類などは原生生物という名でひとまとめにされ,また,これら真核生物に比して,細菌類やラン藻類は原核性で,原核生物と別の群にまとめることができる。

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世界大百科事典内の植物の言及

【乾生植物】より

…耐乾性drought resistanceが大きく,乾燥して土壌水分が乏しい土地に生育できる植物。低温・塩類の過多などで土壌からの吸水が困難な土地に生育する植物を含める場合がある。…

【生物】より

…いずれにせよ,エネルギー転換にかかわるエネルギーのシステムと,それの方向を指示し,自己保存,自己増殖を行う情報のシステムとが組み合わさったとき,初めて,生物が生じたことは確かである。
[生物の分類]
 生物は動物と植物に大別されるが,これは外界からの物質やエネルギーのとりこみ方の違いに基づくものである。すなわち,主要なエネルギー源として太陽エネルギーを,体を構成する物質源としては無機物質をとりこむ方式で生きるものが植物であり,エネルギー源,物質源を有機物質に頼るのが動物であると考えてよい。…

【有用植物】より

…現在,地球上には約30万種の植物が知られている。それらのうち人類の生活になんらかの関わりがあり,食料,香辛料,衣料,糸や籠の材料,住居の建築や木工細工,燃料,薬,さらには美的な観賞対象としての園芸植物にいたるまで,さまざまな形で利用されている植物は数万種にのぼるであろう。…

※「植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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