極付(読み)きわめつき

精選版 日本国語大辞典 「極付」の意味・読み・例文・類語

きわめ‐つききはめ‥【極付】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 書画古道具刀剣などに、極札(きわめふだ)がついていること。また、そのもの。
  3. 転じて、世間一般から、はっきりした評価を受けていること。定評のあること。確実であること。また、そのもの。折紙つき。本来、よいことについていうが、否定的な事柄についてもいう。
    1. [初出の実例]「なかでもこの『白銅』という奴は以前からもう極めつきのものだった」(出典:末枯(1917)〈久保田万太郎〉)
  4. 歌舞伎のある役柄で、その俳優の芸がすぐれていて、他に比類する者がいないこと。また、その役。

きわめ‐つけきはめ‥【極付】

  1. 〘 名詞 〙 鑑定をして、それが確かなものであることを証明すること。
    1. [初出の実例]「そういうものに、みんな極め付けをするのかね?」(出典:真贋の森(1958)〈松本清張〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「極付」の意味・わかりやすい解説

極付 (きわめつき)

〈極札(きわめふだ)〉のついているという意味。したがって,証明つきの,定評あるという意味になり,歌舞伎では,ある俳優のほかにくらべるもののないほど安定した芸をさす用語になった。《極付幡随長兵衛》などの外題のほか,〈6代目菊五郎極付の鏡獅子〉というように広く使う。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「極付」の意味・わかりやすい解説

極付
きわめつき

これ以上はない,他にまね手のない優れた芸に対する尊称。極札付き,または極書付きの略で,証明書付きの名品という意味から来た呼び名。歌舞伎で,ある役者のある役を極付と呼んだ場合,世間一般が認めたものとして,他の役者は演じるのをはばかるほどの社会性を持っていた。

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