槁根津日子(読み)さおねつひこ

改訂新版 世界大百科事典 「槁根津日子」の意味・わかりやすい解説

槁根津日子 (さおねつひこ)

古事記》の神武天皇東征譚に水先案内人としてあらわれ,〈倭国造(やまとのくにのみやつこ)〉の始祖とされる人物。《日本書紀》では珍彦(うずひこ),のちに椎根津彦(しいねつひこ)の名を賜る。神武天皇が日向から海路東へ向かったときに,〈速吸門(はやすいのと)〉(豊予海峡)で亀の背で釣をする者にあう。問えば海路をよく知ると答えたので船に引き入れ,彼を〈海導者〉として瀬戸内海を東進することができた。のちに功により倭国造に任じられたという。倭国造家は大和の大国魂(おおくにたま)の神を祭る土豪だが,同時に瀬戸内海の海人(あま)を統括する職掌で宮廷に仕えていた。この説話はそうした伝統的現実の起源譚として語り出されたもので,その名は水路に用いる〈棹(さお)〉にもとづいている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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