精選版 日本国語大辞典 「樽廻船」の意味・読み・例文・類語
たる‐かいせん ‥クヮイセン【樽廻船】

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江戸時代、大坂・西宮(にしのみや)から江戸への酒荷輸送に従事した商船。主たる貨物が、灘(なだ)・伊丹(いたみ)など上方(かみがた)から江戸積みされる酒樽(さかだる)(四斗樽)であったためこの称がある。当初、酒樽は菱垣(ひがき)廻船に木綿、油などといっしょに混載されていた。正保(しょうほう)期(1644~48)に伝法船が酒荷の積(つ)み下(くだ)しを始め、1671、72年(寛文11、12)には活躍著しく、酒荷を主とし一部荒荷(雑貨)も積み合わせた。これがのちの樽廻船の始まりで、船足が速く小早(こはや)とよばれた。1730年(享保15)に酒荷を取り扱う酒問屋が、江戸十組問屋より分離独立して、別個に酒荷専用船として樽廻船が仕立てられるようになった。その理由は、菱垣積み荷物は江戸問屋の注文荷物であったのに対し、酒荷は酒屋荷主からの委託荷物であったため、海難に際しての損失は荷主である酒屋が負担したこと、しかも酒荷は迅速性と安全性が要請されたため、混載による荷役積込み作業の煩雑さを避けて輸送所要日数の短縮を図ったこと、などがあげられる。その結果、低運賃と酒屋の支援もあって、幕末期には樽廻船が菱垣廻船を圧倒してゆくのである。
[柚木 学]
『柚木学著『近世海運史の研究』(1979・法政大学出版局)』
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主として酒荷を上方から江戸に輸送した廻船集団。はじめ酒荷は十組問屋傘下の菱垣(ひがき)廻船の積荷だったが,酒荷の特質などから荷主の摂津国灘の酒家中(酒造家)はしだいに菱垣廻船に不満を募らせ,1730年(享保15)十組を脱退して独自に酒荷専用の廻船を仕立てるようになった。これが樽廻船である。その後酒荷の上荷として菱垣廻船積荷を洩積みするようになったため,低迷する菱垣廻船との間に紛争がたえず,明和年間には積荷協定を結んだが,その後も樽廻船の優勢はゆるがなかった。しかし天保期以後は,積荷の菱垣廻船化が進み,中核である酒家中から不満が出るなどの問題を抱え,新興の尾州廻船などに押されて,その勢力に衰えがみられた。
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