歌意考(読み)かいこう

精選版 日本国語大辞典 「歌意考」の意味・読み・例文・類語

かいこう カイカウ【歌意考】

歌論書。賀茂真淵著。一巻。明和元年(一七六四成立和歌上代の正しいよみかたに立ち戻らなければいけないとし、「万葉集」への復帰を強調した。近世の歌学史上で重要な立場を占める。

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デジタル大辞泉 「歌意考」の意味・読み・例文・類語

かいこう〔カイカウ〕【歌意考】

江戸中期の歌論書。1巻。賀茂真淵かものまぶち著。明和元年(1764)成立。和歌は正しく万葉集風姿に帰るべきだと主張した、近世歌学史上重要なもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「歌意考」の意味・わかりやすい解説

歌意考
かいこう

賀茂真淵(かもまぶち)の歌論書。1巻。「五意考(ごいこう)」の一つ。清書本は1764年(明和1)にできているが、草稿は60年(宝暦10)ごろまでに成る。真淵の没後98年(寛政10)刊。元来は『歌意(うたのこころ)』とよばれた。版本よりも内容の多い広本もあり、『にひまなび』と共通する部分があるが、広本の一部を抄出し、整理し直して『にひまなび』としたと考えられる。古道と結び付けて独特の歌論を展開し、「誠(まこと)」「調(しらべ)」を説き、万葉調意義を強調している。『万葉集』の輪郭を述べ、和歌の本質や歴史に対する概観もみえる。

[井上 豊]

『『賀茂真淵全集19』(1980・続群書類従完成会)』

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世界大百科事典 第2版 「歌意考」の意味・わかりやすい解説

かいこう【歌意考】

歌論書。賀茂真淵著。1764年(明和1)成立。1巻。晩年の真淵の歌についての考えが簡潔にのべられている。真淵は《万葉集》の歌に,純真な心の単純で素朴な表現を見いだして,それを心の最高のあり方と考えた。彼は,直き心をひたぶるにひとつ心にうたうことを,歌の理想境地として求めた。そして,《万葉集》をよく読み,それを手本として歌をつくることによって,古代精神へ復帰することを主張した。【平野 仁啓】

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