正気歌(読み)セイキノウタ

デジタル大辞泉 「正気歌」の意味・読み・例文・類語

せいき‐の‐うた【正気歌】

中国、宋末の宰相文天祥が元軍と戦って敗れ捕らえられ、元の大都北京)の獄中にあって作った五言古詩。節を曲げず忠義を貫く心をうたったもの。
江戸末期、藤田東湖が作った五言古詩尊王の心をうたい、志士たちの士気を高めた。吉田松陰にも同名作品がある。

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精選版 日本国語大辞典 「正気歌」の意味・読み・例文・類語

せいき‐の‐うた【正気歌】

  1. [ 一 ] 中国、宋末の忠臣文天祥が、元の軍隊と五坡嶺に戦って敗れ、とらわれの身となった折、元の大都(北京)の獄中でつくった五言の古詩。
  2. [ 二 ] 江戸末期に藤田東湖が尊皇攘夷派の士気を鼓舞するためにつくった五言の詩。ほかに、吉田松陰、広瀬武夫らによる同名の詩がある。和文天祥正気歌。

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改訂新版 世界大百科事典 「正気歌」の意味・わかりやすい解説

正気歌 (せいきのうた)
Zhèng qì gē

中国,南宋滅亡の後,元(モンゴル)の捕虜となった文天祥が1281年北京の獄中で作った抵抗の詩。中国文学史上屈指の傑作で,悲劇的なその生涯とあいまって,後世に大きな感銘を与えた。〈天地に正気有り〉と,その詩は宇宙の広大な運行から説きおこし,歴代人物の壮烈な気節を列挙し,最後は〈古道顔色を照らす〉と,自己の行動もそれらの人々に連なる正当性を持つと確認して結ぶ。日本の幕末の志士にも熱唱された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「正気歌」の意味・わかりやすい解説

正気歌
せいきのうた
Zheng-qi ge

中国,南宋末の五言古詩。文天祥の作。至元 18 (1281) 年成立。 60句から成る。元軍と戦い,その捕虜となった作者が,燕都 (北京) の獄中でつくったもの。憂国の詩として有名で,日本でも幕末の志士に特に愛唱され,藤田東湖,吉田松陰らに模倣作がある。

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世界大百科事典(旧版)内の正気歌の言及

【文天祥】より

…しかし文天祥は宋王朝への忠節をまげず,在獄3年ののち82年(至元19)処刑された。81年獄中で作った長詩〈正気歌(せいきのうた)〉は,天地間の不変の気を宋に忠節をつくすみずからの姿と重ねて歌ったもので,藤田東湖,吉田松陰ら日本の幕末の勤皇の志士,忠君愛国の思想に少なからぬ影響を及ぼした。《文山全集》20巻があり,杜甫の詩の集句も作っている。…

※「正気歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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