殉葬(読み)じゅんそう

百科事典マイペディア 「殉葬」の意味・わかりやすい解説

殉葬【じゅんそう】

王侯の死に際し,従者侍女殉死させて葬る古代風習エジプト第1王朝のメネスナルメル王墓メソポタミア初期王朝のウルの王墓などに著しい。中国では,河南省安陽県武官村にある(いん)の大墓に見られるが,その殉葬は殺して埋葬した殺殉大半を占め,中には断頭した殺頭葬もあることが特徴。日本では,殉葬の風習の存在を示す記載が《魏志倭人伝》や《日本書紀》などに見えるが,それを実証する考古学的事実はない。
→関連項目殉死墳墓

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普及版 字通 「殉葬」の読み・字形・画数・意味

【殉葬】じゆんそう(さう)

死者として葬る。〔後漢書東夷、夫余国伝〕死するときは則ち椁りて棺無し。人をして殉す。多きは百を以て數ふ。

字通「殉」の項目を見る

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世界大百科事典 第2版 「殉葬」の意味・わかりやすい解説

じゅんそう【殉葬】

王侯貴族など主人の墓に,死者の供として妃妾や従者を同時に葬ること,およびその遺構をいう。墓の大小にかかわらず殉葬を伴うのは支配階級の墓であり,権力の大小は別にして,それらを王墓,首長墓などと呼んでいる。それぞれの社会と同じような来世の存在を信じていた時代の風習で(来世観),古文献によると,生きながら埋められた場合もあった。人間に限らず犬や馬を葬ったものも殉葬というが,犠牲として区別すべきものもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「殉葬」の意味・わかりやすい解説

殉葬
じゅんそう

主君や夫の死後、後を追って臣下や妻が死ぬことを殉死といい、死者である主君や夫と同時に殉死者を葬ることを殉葬という。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「殉葬」の意味・わかりやすい解説

殉葬
じゅんそう

王侯の死の際,臣下従者が殉死し,それをともに葬ることをいう。古代のエジプト,メソポタミア,中国などにみられる。中国の殷の大墓には発掘により多くの殉死者があったことが明らかになっており,墓の入口を守る人や馬などの動物も葬られていた。日本でも殉葬の風習があり,それをやめるために埴輪が用いられたという説話もある。また『魏志』に卑弥呼の墓に奴婢を殉葬したという記述がある。

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世界大百科事典内の殉葬の言及

【墳墓】より

…特殊な副葬品として,中国では漢代以来,日本では奈良時代の墓に2例,来世の土地所有権を保証する買地券(ばいちけん)を入れたものがある。 死者に添えて人,家畜を埋めるのは殉葬(じゆんそう)である。エジプト第1王朝ジェセル王墓に伴う墓には女官275人,侍臣43人が殉葬されていた。…

※「殉葬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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