殊に(読み)コトニ

デジタル大辞泉 「殊に」の意味・読み・例文・類語

こと‐に【殊に】

[副]
とりわけ。「花の中では、バラの花が殊に好きだ」
特に用法
なお。その上。加えて。
「―この頃は西山東山花盛りにてあると申して」〈虎清狂・猿座頭
[類語]特にとりわけ別段なかんずく特別ことさら殊の外ひときわ中でも分けても折り入ってわざわざせっかく格別格段特段特殊特異別にこれと言うスペシャル故意わざと作意作為意識的意図的計画的作為的未必の故意積極的能動的自発的好んでわざとらしいこと新しいあえて

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精選版 日本国語大辞典 「殊に」の意味・読み・例文・類語

こと‐に【異・殊・事・別】

  1. 〘 副詞 〙 ( 形容動詞「ことなり(異)」の連用形から )
  2. 他のものとは違った有様で。常のあり方とは違って。…とは異なって。とりわけ。→こと(異)
    1. [初出の実例]「橡(つるばみ)の解き洗ひ衣のあやしくも殊(ことに)着ほしきこの夕へかも」(出典万葉集(8C後)七・一三一四)
    2. 「人のよろこびしてはしらする車の音、ことに聞えてをかし」(出典:枕草子(10C終)三)
  3. 一つの事柄を、特にとり立てて。特に。格別に。
    1. [初出の実例]「ことに例のやうにも見給はで、心にしみて琴(きん)を弾き給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
  4. 一つの事柄が、他の似た性質の事柄の上に、もう一つ加わって。加えて。その上。しかも。
    1. [初出の実例]「又御目にかかる事はあるまい。ことに老来である程にと思たれば」(出典:四河入海(17C前)四)

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