殊更(読み)コトサラ

デジタル大辞泉 「殊更」の意味・読み・例文・類語

こと‐さら【殊更】

[名・形動]
考えがあってわざとすること。また、そのさま。故意。「殊更仕打ち」「殊更につらく当たる」
格別なさま。
衆議判の時、よろしき由沙汰ありて、後にも―に感じ仰せ下されける由」〈徒然・一四〉
[副]
わざわざ。「殊更行かなくても、ついでの時でよい」
特に際立って。とりわけ。格別。「今年の冬は殊更寒い」
[類語]1わざと故意作意作為意識的意図的計画的作為的未必の故意積極的能動的自発的わざわざ殊の外殊に好んでわざとらしいこと新しいあえてせっかくとりわけ奮って主体的意欲的精力的自主的活動的進取前向き強いてたって乗り気求めて進んで我勝ち我先我も我も喜んで喜ぶしゃかりきしゃにむにどしどしアクティブアグレッシブポジティブ自ら手ずから直直じきじき直接直接的じか身を以てダイレクトえいやっと我劣らじとわざとらしいむにまれぬ及ばずながら献身的強気強引押して努めて曲げて断固断然思い切ってるか反るか思う様思う存分存分思いのまま力一杯精一杯率先果敢惜しみない意気込む本腰本腰を入れる入れ込むひたむき2特に殊にとりわけ別段なかんずく特別殊の外ひときわ中でも分けても折り入ってわざわざせっかく格別格段特段特殊特異別にこれと言うスペシャル無性にやたらむやみみだりむやみやたらめったやたらめったやみくもあまり無下に後先なし無謀無鉄砲めくら滅法盲目的後先見ず向こう見ず命知らず破れかぶれやけ自暴自棄ふてくされるやけくそやけっぱち自棄捨て鉢八方破れ無軌道放埒ほうらつ放縦放逸奔放野放図勝手次第好き勝手ほしいまま切実切切痛切つくづくつらつらひしひししみじみこころからしんから心が動くこよなくぞっこんじいん度外れめっぽう途方もない途轍とてつもない桁違い過度すごくひどいはなはだこの上ないとてもひたすら

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精選版 日本国語大辞典 「殊更」の意味・読み・例文・類語

こと‐さら【殊更】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 )
    1. 意図的にある動作をすること。わざとすること。また、そのさま。故意。
      1. [初出の実例]「事更(ことさら)に衣は摺らじ女郎花(をみなへし)咲き野の萩ににほひて居らむ」(出典万葉集(8C後)一〇・二一〇七)
      2. 「故(コトサ)らに二三度呼ばして返事にも勿躰(もったい)をつけ」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
    2. 格別であること。とりわけはなはだしいさま。
      1. [初出の実例]「その程、志の深さ浅さのおもむきをも見定めて、許すともことさらなるやうに、もてなしてこそあらめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. わざと。わざわざ。故意に。
      1. [初出の実例]「ことさら幼く書きなし給へるも、いみじうをかしげなれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
    2. とりわけ。中でも。格別。
      1. [初出の実例]「住吉の大明神の領ぜさせおはしましけるとおぼしくて、殊更怖しく覚えし」(出典:延慶本平家(1309‐10)二本)

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