残留応力(読み)ザンリュウオウリョク(その他表記)residual stress

デジタル大辞泉 「残留応力」の意味・読み・例文・類語

ざんりゅう‐おうりょく〔ザンリウ‐〕【残留応力】

引っ張り・圧縮・曲げ・熱処理などの外力に対して物体内部に生じ、外力を除いたあとにも保留される応力材料強化などに利用される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「残留応力」の意味・わかりやすい解説

残留応力
ざんりゅうおうりょく
residual stress

内部応力,固有応力,初期応力,組立て応力ともいう。外部から力が作用しなくても物体中に存在する応力。たとえば,消しゴムの一部に切れ目を入れ,ずらして接着すると,消しゴムに残留応力が発生,接着をはずすと残留応力を解放しながら元の形に戻る。これは残留応力のわかりやすい例で,溶接構造物などに存在する。金属材料を熱処理する際,冷却速度が不均一であると冷却中に熱応力の作用で起る塑性変形が不均一になり,その結果製品に残留応力が存在する。結晶の格子単位における格子配列のずれは,特に結晶転位と呼ばれ,結晶の塑性変形機構や変形に対する抵抗力の原因として重要な役割を果すが,これは金属材料の残留応力の要素である。残留応力を除去するためには,大きな往復塑性変形を繰返し与えるか,低温焼なましを与えるか,また超音波をかけるなどの方法があるが,これらの有効性は結晶転位の挙動によって説明できる。

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世界大百科事典(旧版)内の残留応力の言及

【応力】より

…材料や構造物が製造された段階ですでに存在している内部応力を初期応力といい,これは製造過程で素材に加えられた無理がそのまま残ったものである。初期応力と似た概念である残留応力は,物体に加えられた外力が除去された後,物体内になお存在している内部応力を指す。溶接,熱処理などの過程により生じた内部応力も残留応力という。…

※「残留応力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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