(読み)ザン

デジタル大辞泉 「残」の意味・読み・例文・類語

ざん【残】

のこり。あまり。「差し引き三万円の
そこなうこと。きずつけること。
「―に勝ち殺を棄てん事、何ぞ必ずしも百年を待たん」〈太平記・二〇〉
[類語]残存残留名残残品残務余り残り残余残部残物余剰剰余余分余計余裕端数おこぼれはした半端

ざん【残〔殘〕】[漢字項目]

[音]ザン(呉) [訓]のこる のこす
学習漢字]4年
あとにのこる。「残業残雪残存残念残余残留
そこなう。くずれる。「残害残欠衰残敗残廃残老残
むごい。「残虐残酷残忍

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「残」の意味・読み・例文・類語

のこり【残】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「のこる(残)」の連用形名詞化 )
  2. 残ること。残ったもの。
    1. [初出の実例]「未だ清(しつま)らず、余(ノコリ)の妖(わさわひ)尚梗(あた)れり」(出典日本書紀(720)神武即位前(熱田本訓))
    2. 「『かのうらうらの巻は中宮にさふらはせ給へ』ときこえさせ給ければ、これがはじめ、のこりの巻々ゆかしがらせ給へど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
  3. 余命余生
    1. [初出の実例]「詠むべき残の春をかぞふれば花とともにも散る涙哉〈俊恵〉」(出典:新古今和歌集(1205)春下・一四二)

ざん【残】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しいたげ、そこなうこと。残虐なこと。
    1. [初出の実例]「残(ザン)に勝ち殺を棄てん事、何ぞ必ずしも百年を待たん」(出典:太平記(14C後)二〇)
    2. [その他の文献]〔論語‐子路〕
  3. のこり。あまり。特に、飲食物ののこりをいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「部屋住やきのふの残(ざン)でとし忘」(出典:俳諧・文政句帖‐五年(1822)四月)

のこし【残】

  1. 〘 造語要素 〙 ( 動詞「のこす(残)」の連用形から ) 動詞の連用形に付いて複合名詞を作り、その動作を終わりまでしなかったこと、また、その結果として残ってしまったものなどを表わす。「しのこし」「食べのこし」など。

のこん【残】

  1. 〘 名詞 〙 ( 多く、助詞「の」を伴って用いる ) 「のこり(残)」の変化した語。

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