毛野(読み)けの

精選版 日本国語大辞典 「毛野」の意味・読み・例文・類語

けの【毛野】

(「け」は「食(け)」で、天皇食料を奉る野の意か) 上野(こうずけ)群馬県)、下野(しもつけ)栃木県両国古称上代仁徳天皇の頃、毛野の国を上毛野(かみつけの)下毛野(しもつけの)とに分けたが、奈良時代初期、国名二字と定められてからは、上野、下野と記した。けぬ。

け‐ぬ【毛野】

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デジタル大辞泉 「毛野」の意味・読み・例文・類語

けの【毛野】

上野こうずけ下野しもつけ両国の古称。はじめ、毛野を上毛野かみつけの下毛野しもつけのの2国に分け、霊亀元年(715)国名を2字と定めてから上野・下野と記すようになった。けぬ。

けぬ【毛野】

けの(毛野)

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百科事典マイペディア 「毛野」の意味・わかりやすい解説

毛野【けぬ】

〈けの〉とも読む。古代,群馬県全域と栃木県南部を指したとみられる地域名。《国造本紀(こくぞうほんぎ)》に仁徳(にんとく)天皇の代に〈毛野国〉を上・下に分けたとある。古墳の分布状況などから,5世紀には太田天神山(おおたてんじんやま)古墳(群馬県太田市)周辺が中心地であったが,それが解体したようである。地名を冠した上毛野氏・下毛野氏崇神(すじん)天皇皇子豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)を始祖とする伝承を伝えており,中央の国家機構の中に組み込まれていたようである。

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世界大百科事典 第2版 「毛野」の意味・わかりやすい解説

けぬ【毛野】

古代の地域名。平安時代初期に作られた《国造本紀》の下毛野国造条には仁徳天皇の代に〈毛野国〉を上・下に分けたと書かれている。この後では上毛野国,下毛野国となるが,栃木県北部は那須国造の支配地であったことから,毛野とは関東平野の北西部に位置する群馬県全域と栃木県南部の一定の政治的まとまりをもつ地域を称したものとみられる。〈けぬ〉の語義については〈作物の豊かな所〉とか〈毛人の住む所〉とかされているが判然としない。

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世界大百科事典内の毛野の言及

【両毛地方】より

…関東地方北西部の地域名。広義には古代に毛野(けぬ)と呼ばれた範囲を指し,現在の群馬県全域と栃木県南部にあたる。この地域はのちに上毛野国(奈良時代以降の上野(こうずけ)国),下毛野国(下野(しもつけ)国)に分かれたことから,両毛地方の名が使われるようになった。…

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