精選版 日本国語大辞典 「気体」の意味・読み・例文・類語
き‐たい【気体】
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物質の集合状態の一つで、液体とともに流体とよばれる。それは、体積を一定に保ったまま形を変えるときの弾性すなわち剛性をもっていない。同じ流体とはいっても、気体は液体と違って自由表面をもたない。したがって気体の体積は容器の体積と一致する。気体はどのような種類のものでも、化学反応をおこす場合を別として、まったくよく混じり合い、水と油のように2相になるというものはない。それゆえ、混合気体であるか純粋気体であるかは、化学分析をしなければ区別しがたい。気体は固体や液体と比べてはるかに容易に圧縮することができる。気体の体積と圧力とは、温度を一定に保っておくと互いに反比例する(ボイルの法則)。また圧力を一定に保つと、体積は温度1℃上がるごとに、0℃のときの体積の273分の1ずつ増大する(シャルルの法則)。これを組み合わせると
pV=c(t+273)
と書ける(tは摂氏の温度)。多くの気体はだいたいこの法則に従うが、厳密に従うわけではない。厳密に従う気体を仮定して理想気体という。理想気体は実在する気体ではないが、まったくの空想的なものではない。気体のもつもっとも基本的な特徴を純粋な形で抜き出したものである。それゆえ、現実の気体はある近似でボイル‐シャルルの法則に従う。これから大きく外れるのは、たとえば液化がおこるときのように、気体が気体でなくなるときである。分子論的にいえば、分子が大きさをもたず、相互作用がなければ理想気体としてふるまうはずである。気体が、その構造上、液体や固体と違うのは、分子間の距離が分子の大きさに比べて著しく大きく、分子間の相互作用がほとんど無視できるということである。この特徴を端的に表したものが理想気体である。理想気体について、T=t+273.2という温度尺度Tを新たに導入すれば(ケルビン温度目盛)、pV=cTと書ける。さらに分子量をmとしたときmグラムの気体、すなわち1モルの気体をとれば、気体の化学的種別に関係なくcは一定の定数である。これを気体定数という。このことは、一定圧力・一定温度の下で1モルの気体は、その分子がなんであろうとも一定体積を占めるということを示している。実際に0℃で近似的に理想気体と考えてよいような酸素、窒素、水素、ヘリウムなどの気体では、1気圧で22.4リットルの体積をもつ。このことを使えば、ある温度・ある圧力の下での気体の体積をたやすく計算することができる。
現実の気体は適当な方法でそれを液化することができる。二酸化炭素(炭酸ガス)、プロパンなどは、単に圧力を加えるだけで液化されるが、酸素、窒素、水素、ヘリウムなどは、常温でどのように圧縮しても液化することができないので、かつては永久気体の名でよばれたこともあった。しかし、それらの気体も、それぞれの臨界温度以下に下げておいて圧縮すれば液化することがわかった。前記の二酸化炭素やプロパンは、その臨界温度が常温より高いので、常温で圧縮して液化することができる。それゆえ、気体にそれぞれ固有の臨界温度があることがわかれば、永久気体ということばは無意味となる。気体を十分冷却することができれば、1気圧でも液化する。1気圧の下での液化温度すなわち沸騰点のもっとも低いのはヘリウムであって、それは絶対温度4.2K(すなわちマイナス269℃)である。このような物質は広い温度範囲にわたって理想気体とみなされる。
きわめて高密度の気体は、それが自由表面をもたないことから気体とよんでもよいが、物性的には液体と考えたほうがよいともいえる。このように考えると、臨界温度以上で気体を強く圧縮すると、連続的に気体から液体へと変わったのだということもできる。
気体ということばは、いままでの説明とは違って、相互作用を無視しうるような粒子系一般に拡張しても使われる。相互作用が無視されるようなフェルミ粒子、ボース粒子の系に対して、フェルミ気体、ボース気体ということばが使われ、また金属内の伝導電子(フェルミ粒子)の多体系はしばしば電子気体とよばれる。
[宮原将平]
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物質の凝集状態の一つで,もっとも集合状態の粗なもの.気体は圧力および温度により容易にその体積を変化させる(圧縮率,膨張係数大).また,一定の形状をもたない点では液体と同じであるが,気体自身は表面をもたず,利用できる空間をくまなく満たす性質をもっている.分子の集合が粗なため分子間相互作用が小さく,その性質の理論的取り扱いももっとも容易である.[別用語参照]気体分子運動論
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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