精選版 日本国語大辞典 「気管」の意味・読み・例文・類語
き‐かん ‥クヮン【気管】
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頸部(けいぶ)の前面にある甲状軟骨の後方が喉頭(こうとう)で、これに続いて下方へ向かってほとんど垂直に下降する管状の気道が気管である。気管は第6(または第7)頸椎(けいつい)の高さで、甲状軟骨の下側にある輪状軟骨の下縁から始まる。長さは日本人成人で約10センチメートル(8.5~12.5センチメートル)であり、太さは約2.5センチメートルである。気管の上方の部分は頸部にあり、短い下方の部分は胸腔(きょうくう)内に延びて第4~第6胸椎の高さで左右の気管支に分かれる。気管の壁には16~20個のC型の気管軟骨(硝子軟骨(ガラスなんこつ))があり、後方が開いた位置で上下に一定間隔で配列している。これは、外圧力によって気道がつぶれ、閉鎖されるのを防ぐ役割を果たしている。軟骨と軟骨との間は輪状靭帯(じんたい)でつながっている。気管後壁の開方部は平滑筋の膜性壁が張られていて、気管の後部にある食道とは強く結合組織で固着している。気管の内面の粘膜は多列線毛上皮(動物学では多列繊毛上皮と書く)で構成され、この上皮細胞のなかには粘液を分泌する杯状細胞が混在する。線毛は上方に向かって運動している。粘膜の下層には多量の弾性線維があるほか、粘液と漿液(しょうえき)を分泌する混合腺(せん)である気管腺がある。なお、学名のtracheaの語源はギリシア語からで、「粗面」を意味している。当時にあっては、動脈は内面が平滑な、空気の通る管であり、気管は内面が粗な、空気の通る管と考えられていた。
[嶋井和世]
脊椎(せきつい)動物のうち空気呼吸する動物の気道の一部をなし、喉頭に続く半円筒状の1本の管で、その下端は分岐して左右の気管支に分かれ肺に連なる。気管の長さは、頸(くび)の長さや肺の位置による影響を受け、鳥類では一般に長く、ことにハクチョウなどでは、気管支に続く前に途中で屈曲してループ状(糸紐(ひも)などの輪状)になっているものがある。逆に無尾両生類では、喉頭からすぐ肺になるので、気管はきわめて短い。気管壁には輪状(鳥類など)または馬蹄(ばてい)形(哺乳(ほにゅう)類など)の気管軟骨が一定の間隔で入っており、気管が圧迫されて閉ざされないように支柱の役目を果たしている。鳥類の気管支の分岐部には膨らみがあって特別な発音器となり、鳴管(めいかん)とよばれる。気管の管腔(かんこう)の粘膜上皮は多列繊毛上皮で、繊毛運動の方向は喉頭へ向かい、異物の排出に役だっている。
一方、節足動物の有気管類に属するクモ類・倍脚類・唇脚類・昆虫類のほか、有爪(ゆうそう)動物の原気管類に属するカギムシなどは、体表の表皮が細管となって体内に進入し、分岐して樹枝状または房状の気管系を形成する。したがってこの場合、気管壁は表皮と同じで、内面には気管内膜とよばれるキチン層があり、その層の表面に細い螺旋(らせん)状の隆起構造をもつ。外面は1層の真皮細胞が裏打ちしている。気管は分岐して気管支になるが、さらに分岐して細くなり、その終末は気管小枝とよばれる。気管の外界への開口部は気門で、呼吸運動によって気門から空気が入り、気管小枝の細胞を介してガスの交換が行われる。
[新井康允]
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…翅は発育後期まで胸部の囊状突起としてとどまり,不完全変態類では外から認められるが,完全変態類では皮膚下に潜んでいる。成虫になるとともに伸長し,それまで翅芽に酸素を供給していた内部の気管(後述)は,翅脈となって飛翔時に翅を支持する骨格の役を果たす。翅脈の配列は目から種までのすべての分類群の識別に重要な特徴として用いられ,さらに系統発生をさぐるうえでの重要な手がかりともなる。…
※「気管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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