精選版 日本国語大辞典 「気質物」の意味・読み・例文・類語
かたぎ‐もの【気質物】
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浮世草子(うきよぞうし)のうち、特定の身分、職業の者に通有の特徴的な性格、性癖のさまざまな現れを描いた作品群の称。江島其磧(えじまきせき)の『世間子息気質(むすこかたぎ)』(1715)が最初の作で、同作の『世間娘気質』(1717)、『浮世親仁形気(おやじかたぎ)』(1720)などが初期の代表作。性別、年齢別に特徴的な性癖を誇張して描き、2性格の対立、葛藤(かっとう)で話をまとめて巧みである。井原西鶴(さいかく)の影響はあるが、類型的にもせよ気質をテーマにしたことは小説の可能性を広げた試みといえる。其磧になお二、三の作があるが、末期の浮世草子界に気質物は多出し、多田南嶺(ただなんれい)の『鎌倉諸芸袖日記(そでにっき)』(1743)は皮肉さ、奔放さで異色の作であり、和訳太郎(わやくたろう)(上田秋成)の『諸道聴耳世間猿(しょどうききみみせけんざる)』(1766)、『世間妾形気(てかけかたぎ)』(1767)は鋭さと構成の巧みさで抜群の作。ほかに永井堂亀友(ながいどうきゆう)、半井金陵(なからいきんりょう)、大雅舎其鳳(たいがしゃきほう)らの作があるが、偏頗(へんぱ)不自然、安易な類集形式として利用した凡作が多い。
[長谷川強]
『田崎治泰著「西鶴以外の浮世草子」(『日本文学史4』所収・増補新版・1975・至文堂)』▽『長谷川強他校注・訳『日本古典文学全集37 仮名草子集・浮世草子集』(1971・小学館)』
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…前者は以前の容色本位の評判を脱して芸評書としての性格をはっきりうち出し,体裁・位付け・批評法など以後幕末・明治に至る評判記の型を定める書となった。浮世草子は初期の好色物に06年刊《風流曲三味線》,11年刊《傾城禁短気》の秀作があり,町人物の《商人軍配団(あきんどぐんばいうちわ)》(1712)に次いで執筆した気質物(かたぎもの)は,特異な性癖を基点とした視角をとって新しい短編編成法を開いた。《世間子息(むすこ)気質》(1715),《世間娘気質》(1717),《浮世親仁形気》(1720)が主要作である。…
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