翻訳|hydrate
水が他の化合物に加わってできた化合物、すなわち水和化合物をいう。古くは水化物、含水化物、水加物などともいわれた。もっとも普通にみられるものは塩類の水和物で、結晶炭酸ナトリウムNa2CO3・10H2Oや塩化マグネシウム六水和物MgCl2・6H2O、硫酸銅(Ⅱ)五水和物CuSO4・5H2Oなどがその例である。これらでは、Na2CO3・10H2Oにおける結晶水、CuSO4・5H2Oにおける配位水、そのいずれであってもかまわない。そのほか、硫酸水和物H2SO4・H2O、水酸化バリウム八水和物Ba(OH)2・8H2Oあるいは酸化鉄(Ⅲ)水和物Fe2O3・nH2Oなどもそうで、水分子の形で含まれている化合物をすべてこのようによぶ。また水との間に化学的な結合のないKr・5.76H2OやCl2・6H2Oなどのようなクラスレイト化合物(包接化合物)も水和物ということがある。
[中原勝儼]
水分子をなんらかの形で含む化合物,付加化合物.たとえば,3CdSO4・8H2Oは付加化合物として硫酸カドミウム-水(3/8)のようによぶが,水の付加化合物の場合は水和物が定着しているので,CuSO4・5H2O硫酸銅五水和物としてもよい.付加の形には,いわゆる結晶水,たとえば結晶格子に配置されている格子水,遷移金属塩にみられる配位結合をしている配位水,水素結合をしている陰イオン水などがある.メタン水和物のように,水分子のつくる分子結晶中にメタンのような異分子が包接されている包接化合物も水和物という.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…それは生体組織にもみられると同様に,相互作用の原因が主として水素結合であることによる場合が多い。さらに固体の状態でも結晶水を含む場合に,その物質を水和物hydrateという。また固体面へ吸着した水,コロイド物質の膨潤水などについても,広い意味で水和ということがある。…
※「水和物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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