精選版 日本国語大辞典 「水密区画」の意味・読み・例文・類語
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船内の一部が浸水しても船が浮力を失わないように、縦・横の仕切り壁や外板、甲板などで水密に仕切られた区画。水密とは、水圧がかかっても鋼材などの継ぎ目から水が漏れない性質である。水密な構造をもつ仕切り壁を水密隔壁または支水隔壁といい、これによって船内は機関室、貨物倉、二重底などの水密区画に仕切られている。水密隔壁には、船体を輪切りにする方向に配置される水密横隔壁と、船首尾方向に配置される水密縦隔壁とがある。これらは、万一の浸水をその水密区画だけに局限し、船体構造を強化するとともに、火災に対する防護壁、タンクをくぎる壁にもなっている。代表的な水密横隔壁には、船首と船尾を衝突や座礁などから防護する船首隔壁と船尾隔壁、および機関室の前後端を仕切る2枚の機関室隔壁がある。どの船も最小限この4枚の水密横隔壁をもたなければならず、大型船では長さに応じて水密横隔壁を増設することになっている。また、タンカーや鉱石運搬船などでは、水密縦隔壁で貨物倉を縦方向に2列、3列、……とくぎって使いやすくしている。
昔の船は、手こぎのボートのように、縦にも横にもほとんど隔壁をもっていなかった。沈没防止を意識して水密横隔壁が設けられ始めたのは1850年ごろからで、19世紀の末にイギリスでこの隔壁に関する調査委員会が発足し、その構造と配置についての研究が始まった。ちょうどその復命書が完成するころ、タイタニック号の遭難事件が起き、この問題が世の注目を集めた。豪華客船タイタニック号は、1912年の処女航海で氷山と衝突し、船首部の五つの水密区画に浸水した。この部分の浸水だけでは沈没しなかったものが、船首の沈下によって後方の多くの水密区画にまで浸水が及んで、ついには沈没してしまった。この海難事件に刺激されて、1914年に調印された「海上における人命の安全のための国際条約」では、水密横隔壁を配置する間隔とその構造についての規定が盛り込まれた。それは、国際航海をする旅客船はどの水密区画に浸水しても浮いていられるような間隔で水密横隔壁を配置し、浸水後の喫水増加による水圧に耐えられるような構造とする、というものであった。この規定は、その後の技術の進歩に応じてたびたび改正され、日本では船舶安全法のなかの船舶区画規程でその詳細が定められている。
[森田知治]
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