氷魚(読み)ヒウオ

デジタル大辞泉 「氷魚」の意味・読み・例文・類語

ひ‐うお〔‐うを〕【氷魚】

アユ稚魚。2、3センチ程度で体はほとんど半透明。秋から冬にかけて琵琶湖でとれるものが有名。ひお。
[類語]稚鮎落ち鮎下り鮎上り鮎若鮎

こまい【氷魚/氷魚】

タラ科の海水魚全長約30センチ。体色灰褐色で、暗色の不規則な斑点がある。食用。北海道以北の日本海・太平洋沿岸にすむ。根室地方では冬、海面の氷に穴をあけて釣る。 冬》「沓きしり現れしアイヌと―釣る/三鬼

ひ‐お〔‐を〕【氷魚】

ひうお(氷魚)」に同じ。 冬》
[補説]書名別項。→氷魚

ひお【氷魚】[書名]

島木赤彦の第3歌集。大正9年(1920)刊。

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精選版 日本国語大辞典 「氷魚」の意味・読み・例文・類語

こまい【氷魚・氷下魚】

  1. 〘 名詞 〙 タラ科の海産魚。体長四〇センチメートルに達する。体は細長く、前部が太い。背びれは三基、しりびれは二基ある。体形マダラスケトウダラに似ているが、体は大きくならない。体色は灰褐色で暗色の不規則な斑紋がある。大陸棚の浅海域に生息する。北海道での産卵期は一~三月で、この時期岸近くの厚い氷の下に集まり、沈性粘着卵を産む。このため氷下魚の名がついたとされる。食用。北海道以北の北太平洋および黄海分布かんかい。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「二人はもう氷下魚(コマイ)を釣るのだといって持ってきた畳いとを氷の穴へたらしてゐた」(出典福寿草(1937)〈大鹿卓〉)

ひ‐うお‥うを【氷魚】

  1. 〘 名詞 〙(あゆ)の、体に色素細胞がまだほとんど現われていないときの稚魚。長さ二~三センチメートル。ほとんど無色半透明で死ぬと白濁する。秋から冬にかけて琵琶湖でとれるものが有名。ひお。ひのいお。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「丸雪(あられ)せよ網代の氷魚煮て出さん」(出典:俳諧・蕉翁句集(1699‐1709頃))

ひおひを【氷魚】

  1. 〘 名詞 〙ひうお(氷魚)《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「先日佐官大夫仰遣氷魚、依不所取、不得買進上」(出典:正倉院文書‐天平宝字六年(762)一二月八日・下道主啓)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「氷魚」の解説

氷魚 (コマイ)

学名:Eleginus gracilis
動物。タラ科の海水魚

氷魚 (ヒオ)

動物。アユ科のアユの稚魚

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の氷魚の言及

【網代】より

…宇治網代は《万葉集》に〈八十氏河の網代木〉とみえ,田上網代は883年(元慶7)の官符に近江国の内膳司御厨として現れる。《延喜内膳司式》に山城・近江の氷魚網代が9月から12月30日まで氷魚を貢すとあり,《西宮記》には,田上網代は氷魚,宇治網代は鮎を毎日進めたとある。この氷魚は重陽の宴,旬(しゆん)などに当たって,廷臣に与えられ,宇治網代の修理は山城の正税稲によって行われている(《北山抄》)。…

【アユ(鮎)】より

…産卵期になると湖に流入する小河川の河口に集まって産卵する。その幼魚は琵琶湖では氷魚(ひうお)と呼ばれている。天然の遡上に乏しい河川ではこの稚魚,幼魚を放流することが盛んに行われているが,他の河川に放流されると河川産のアユと同じように大きく成長する。…

【網代】より

…宇治網代は《万葉集》に〈八十氏河の網代木〉とみえ,田上網代は883年(元慶7)の官符に近江国の内膳司御厨として現れる。《延喜内膳司式》に山城・近江の氷魚網代が9月から12月30日まで氷魚を貢すとあり,《西宮記》には,田上網代は氷魚,宇治網代は鮎を毎日進めたとある。この氷魚は重陽の宴,旬(しゆん)などに当たって,廷臣に与えられ,宇治網代の修理は山城の正税稲によって行われている(《北山抄》)。…

※「氷魚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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