精選版 日本国語大辞典 「汝」の意味・読み・例文・類語
いまし【汝】
〘代名〙 対称。なんじ。おまえ。
※万葉(8C後)一一・二五一七「たらちねの母に障(さは)らばいたづらに伊麻思(イマシ)も吾も事の成るべき」
なれ【汝】
※源氏(1001‐14頃)若菜下「ねうねうといとらうたげに鳴けばかきなでて〈略〉恋わぶる人の形見と手ならせばなれよ何とて鳴くねなるらむ」
まし【汝】
〘代名〙 (「いまし(汝)」の変化したものか) 対称。上代、対等、またはそれ以下の相手に対して用いた。「いまし」より敬意の薄いものとされる。おまえ。
※催馬楽(7C後‐8C)夏引「夏引きの 白糸 七量(ななはかり)あり さ衣に 織りても着せむ 万之(マシ)妻(め)離れよ」
み‐まし【汝】
〘代名〙 (「み」は接頭語) 対称。あなた。「いまし」「まし」などよりも敬意が高いとみられる。確実な例は、宣命の中にだけ見られる。
※続日本紀‐神亀元年(724)二月四日・宣命「藤原宮に天の下知しめしし美麻斯(ミマシ)の父とます天皇の美麻斯(ミマシ)に賜ひし天の下の業と」
い【汝】
〘代名〙 (格助詞「が」を伴って用いられる) 対称。おまえ。相手を卑しんでいう語。
※古事記(712)中「伊(イ)賀〔此の二字は音を以ゐよ〕作り仕へ奉れる大殿の内には」
な‐むじ ‥むぢ【汝】
〘代名〙 ⇒なんじ(汝)
な‐むち【汝】
〘代名〙 ⇒なんじ(汝)
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