池守(読み)いけもり

精選版 日本国語大辞典 「池守」の意味・読み・例文・類語

いけ‐もり【池守】

  1. 〘 名詞 〙 中世池水管理の担当者。池水の番人井守(いもり)。→池奉行
    1. [初出の実例]「若自由入用件池水者、禅円房 并 池守可罪科者也」(出典:斑鳩旧記類集‐応安元年(1368)五月一四日・講衆評定)

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改訂新版 世界大百科事典 「池守」の意味・わかりやすい解説

池守 (いけもり)

溜池の維持管理にあたる役職者。井守,池司,池奉行などともいう。池守の水利組織全体における位置や役割は池によって異なり,また時代によっても相違した。中世においては,用水事情に通暁した在地の人物が池の管理と池水の分配をする役人として荘園領主によって任命されることが多かった。近世になると大きな溜池には特定の家が池守に世襲的に任命されることが一般化した。たとえば,讃岐満濃池は近世初頭に再興されたが,それに協力した土豪の矢原氏が代々池守となり,池守給を支給されていた。河内狭山池では,近世初期の再興に下奉行として派遣された田中氏が,工事完了後現地に残されて池守に任命され,近世を通じて世襲した。池守は下役の樋守を指揮して池の管理,池水の分配を行い,役米を水下の村々から徴収した。また,水利組織の下級役職者として水門開閉を担当する役を池守ということも多い。
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