一般に,合議体による意思決定,または,それによって決定された事項のこと。日本国憲法は,衆議院の内閣に対する〈不信任の決議(案)〉〈信任の決議(案)〉について,この言葉を用いている(69条)。そのほか,国会で,議院の本会議における決議として,(1)議長・副議長の不信任決議,常任委員長の解任決議など院の構成に関する決議,(2)国政一般についての,いわゆる政策決議,(3)感謝・表彰・祝賀などの儀礼的決議がある。これらの決議案は,国会法や議院規則のたてまえからいうと〈議案〉の一つであって,委員会付託→本会議に上程され多数決による議決,という原則に服することとなる。しかし実際には,委員会審査を省略する慣例が成立しており(ただし,第96国会,第98国会で,議員辞職勧告決議案が,議院運営委員会に付託された),また,本会議での上述(2)(3)の決議については,全会一致,あるいは反対者が小会派だけのときに限って可決するという慣例がある。
第67国会の際,1971年11月24日衆議院で可決された〈非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議〉は,それまで政府の政策方針として掲げられていた非核三原則を,院の決議で確認したものとして,重要な意味をもつことになるのであるが,沖縄返還協定に強く反対する社会党および共産党の本会議欠席という状況下で,出席会派による〈全会一致〉で可決された。そのことにつき,のちの議院運営委員会で,慣例に反する異例の取扱いであった旨,確認がおこなわれている。本会議の決議のほかに,委員会による付帯決議がある。これは,委員会付託法案の議決に際し,法律施行の際の心構えや要望等を政府に対して述べる決議であり,帝国議会が天皇の協賛機関にすぎないというたてまえをとっていた旧憲法時代にさかのぼる慣例であったため,第1回国会の衆議院運営委員会で,〈国会が国権の最高機関であり唯一の立法機関である点に鑑み,附帯決議は一切これを附さないことを原則とし,必要があるときは,国会の権限において適当な措置を講ずること〉という決定をしたにもかかわらず,その後,かなり多くおこなわれるようになってきている。
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