蒸気の噴出を利用して音を発生させる装置およびその音響による信号。原理的には呼子と同じ。圧縮空気,電気などを利用するものを含むことがある。船のほか,鉄道車両などでも利用される。船では蒸気機関が推進に利用されるようになるにつれて,それまでのゴング,トランペット,空砲などに代わり,大音響を持続発音できる汽笛が信号装置となっていった。音響を用いる通信は天候,風向,風速,地形などの影響をうけて受信できる範囲が一定せず,伝達にも時間がかかり確実とはいえない。また,多数の船が存在する海上の場合,汽笛信号はそれを発した船を判別する困難さも加わる。しかし,音声による信号に比べてはるかに簡便明りょうであるので,船内外への信号連絡手段として汽笛を設備することが国際的,国内的に定められている。日本では1874年から霧中での信号には蒸気笛を使用することが定められ(このことから霧笛の名もある),現在では〈海上衝突予防法〉によって,船は,その長さに応じた基本周波数と音圧とをもち,短音と長音を発することができる装置(蒸気笛とは限らない)の設備が義務づけられている。つまり船が長いほど低音で音の大きい信号を吹鳴することになる。信号は短音(約1秒間),長音(4秒以上6秒間以下)および両者の組合せでできていて,船の種類(動力船,帆船),状態(航海中,錨泊(びようはく)中,乗揚中),操船動作(右転,左転,機関後進),疑問表示,注意喚起,視界制限状態などに応じ,吹鳴すべき信号,時機,間隔などが定められている。これらはすべて国際的にも統一されたものである。国際信号書に定められている信号を汽笛で行ってもよいが,混乱を防ぐためにも緊急時以外は多用すべきではない。このほか汽笛には船内警報装置としての役割があり,非常の際には救命艇などで退船させるため乗船者を招集する信号が〈船員法〉によって定められている。また習慣として,在港船が元旦午前零時に長音を吹鳴して新年の祝意を表したり,出帆する船が長音3回を吹鳴して別離のあいさつとすることが行われている。
執筆者:平井 顕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鉄道車両や船舶などで、警報音や合図音などを発生させる装置。鉄道の専門語としては警笛。蒸気機関車では蒸気圧を利用して吹き鳴らしたので、汽笛の俗称で普遍化した。汽船の場合も同じである。電気機関車や電車などは圧搾空気を利用して吹き鳴らす。電子音のものも採用されている。
[西尾源太郎・佐藤芳彦]
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