沖合漁業(読み)オキアイギョギョウ(英語表記)offshore fisheries

デジタル大辞泉 「沖合漁業」の意味・読み・例文・類語

おきあい‐ぎょぎょう〔おきあひギヨゲフ〕【沖合漁業】

沖合で行われる漁業沿岸漁業遠洋漁業の中間規模のもの。沖合底引き網漁業・サンマ棒受け網漁業など。近海漁業

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精選版 日本国語大辞典 「沖合漁業」の意味・読み・例文・類語

おきあい‐ぎょぎょうおきあひギョゲフ【沖合漁業】

  1. 〘 名詞 〙 港から日帰りできるくらいの沖合で行なわれる近海漁業。巻き網や中型底引き網などを使って行なわれる。沿海漁業。近海漁業。

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改訂新版 世界大百科事典 「沖合漁業」の意味・わかりやすい解説

沖合漁業 (おきあいぎょぎょう)
offshore fisheries

一般には,沿岸漁場と遠洋漁場の間の漁場で行われる漁業をさすが,それらの境界は明確なものではない。行政・統計上は10トン以上の動力船による漁業で,遠洋漁業と区分されるもの,および定置網漁業,地引網漁業を除く漁業をさす。そして沖合底引網,大中型巻網,近海まぐろはえなわ,近海かつお一本釣り,さんま棒受網,さけ・ます流し網,いか釣りなどの各漁業がおもなものとなっている。ただし,いか釣りには遠洋漁業と指定されてはいないが,オーストラリアニュージーランド,あるいはカナダ沿岸に出漁する実質的には遠洋漁業の性格をもったものも含まれるので統計上の取扱いに注意を要する。

 沖合漁業の概念が若干明確さを欠くこともあって,漁業経済統計では経営体の保持総トン数が10~1000トンを中小漁業と区分するが,これがほぼ沖合漁業にあたる。経営体数は全漁業経営体数の5%程度と少ないが,増加の傾向にある。100トン層までは個人経営が多いが,それ以上では会社経営の割合が急速に高まる。漁獲量は昭和30年代まで300万t弱であったが,その後着実に増加して40年代の終りには400万tをこえ,50年代半ばには600万t前後の水準に達した。これはスケトウダラの増加,それに続くサバマイワシの増加によるものである。とくに近年のマイワシの増加は,遠洋漁業の漁獲量の減少を完全に補っている。その後90年代になって激減し,95年には300万t台になった。

 沖合漁業の漁獲物は多獲性大衆魚と呼ばれるものが多く,生鮮で消費される割合が少なく,練製品,缶詰,あるいは餌・飼料とされることが多い。このため漁獲物の平均単価は沿岸・遠洋漁業の漁獲物より低い。そのため漁獲量が伸びた割には水揚金額は伸びていない。スケトウダラを別として,沖合漁業の対象種として重要なものは表層回遊性のイワシ類,アジ類,サバ,サンマ,スルメイカなどである。こういった種類は海況によって漁獲量に変動がある。昭和10年前後(1930-42)はイワシ類繁栄時代で,1936年にはマイワシを中心としたイワシ類の漁獲量が160万tをこえた。第2次大戦後は,昭和30年前後のサンマ時代(年間最高50万~60万t),昭和30年代後半のマアジ時代(1960年に最高60万t)を経て,昭和40年からはマサバ繁栄時代になり年々の漁獲量が100万tをこえた。さらに,減っていたマイワシが昭和50年代に入って急速に資源を増大させ,1981年にはイワシ類として史上はじめて漁獲量が300万tをこえたが,95年には100万tを割った。沖合漁業の今後の課題は,こういった多獲魚をどのように有効に利用していくかということであろう。
水産業
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沖合漁業」の意味・わかりやすい解説

沖合漁業
おきあいぎょぎょう

10トン以上の中型漁船によって200海里排他的経済水域内の日本近海で行われる漁業。沿岸漁業および遠洋漁業に対応した名称で、近海漁業ともいう。おもな漁業は、沖合底引網(底曳網)、大中型巻網(旋(まき)網)、サンマ棒受(ぼううけ)網、サケ・マス流し網、イカ釣りなどで、イワシ、アジ、サバ、サンマ、スケトウダラ、カレイ類、イカ類などの多獲性魚貝類を対象とするが、漁獲量は海況や漁況に関係するので、年度によって変動が大きい。2008年度(平成20)の生産量は258万トンであり、1999年(平成11)と比較すると92.2%に減少していた。これらの多獲性魚貝類には大衆魚と称される種が多く、価格も比較的安い。そのため人間の食生活上、重要な動物タンパク源であるばかりでなく、飼育動物の飼餌(じ)料や農林園芸の肥料としても重要である。

[吉原喜好]

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百科事典マイペディア 「沖合漁業」の意味・わかりやすい解説

沖合漁業【おきあいぎょぎょう】

近海漁業とも。遠洋漁業沿岸漁業の中間で,やや沿岸漁業に近い。一般に10トン以上の動力船で,200カイリ水域内で操業される漁業で,ほぼ数日の航海により,近海のカツオ,イワシ,サンマ,サバ,イカなどを対象とする。大陸棚底引網漁業も含まれる。経営規模は中小規模の会社,組合組織が多い。1997年の漁業生産量は334万t,生産金額は5377億円である。
→関連項目イワシ(鰯)漁村

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知恵蔵 「沖合漁業」の解説

沖合漁業

沖合漁業とは、10t以上の比較的大型の漁船を使用し、200カイリ水域内の沖合水域で営まれる漁業。主な漁業種類として、沖合底引き網、沖合イカ釣り、マグロはえ縄、サンマ棒受け網、近海カツオ一本釣りなどがある。2005年の沖合漁業の生産量は236万tと、漁獲量減少が顕著となっている(1985年650万t)。遠洋漁業は、200カイリ水域外の公海や他国の沖合で操業する比較的規模の大きい漁業であり、遠洋底引き網、海外巻き網、遠洋マグロはえ縄などが代表例。日本の漁業の中心的な担い手として発展し、70年代初期には400万tの生産量があったが、200カイリ時代に入り急激に減少、05年の生産量は54万t。また、湖や河川で営まれる漁業を内水面漁業(inland water fisheries)と呼んでいるが、生産量は養殖業も含めて10万t(05年)と少ない。

(榎彰徳 近畿大学農学部准教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沖合漁業」の意味・わかりやすい解説

沖合漁業
おきあいぎょぎょう

沖合いの海域で行われる漁業。沿岸漁業遠洋漁業と対比する意味で用いられる呼称である。日本の総漁獲量の過半を占める。沖合底引網漁業,巻網漁業,いか釣り漁業,さば釣り漁業,さんま棒受網漁業,小規模なかつお・まぐろ漁業などがおもなもので,主として中小資本の企業によって営まれている。

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農林水産関係用語集 「沖合漁業」の解説

沖合漁業

主に都道府県の地先沖合で行われる漁業。

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世界大百科事典(旧版)内の沖合漁業の言及

【漁業】より

…戦争による荒廃から生産量がほぼ戦前水準に復したのは51年(戦前を上回ったのは1952)であるが,同年の462万7000tから75年の1054万5000tまで,前述の戦前の例と同じ24年間に2.3倍に急増した。沖合遠洋漁業,特に沖合漁業の比重がぐっと高まり,沿岸漁業の比重が大きく低下した。また経済の高度成長に支えられて水産物需要が拡大し,国内生産の増加にもかかわらず,かつての水産物輸出国から71年には輸入国に転落,いまでは世界一の輸入国である。…

【漁業労働】より

…雇用も,ほぼ年間雇用が確立している。(2)沖合漁業では,分業の程度が低く,年間雇用が多くなったとはいえ,まだ漁期間雇用がかなりの部分を占めている。(3)沿岸漁業を営む漁家労働は,農業労働と同じような性格をもつ養殖労働と,小型漁船を使用する労働とがあり,どちらも家族労働力によって行われている。…

【水産業】より

…また,養殖生産の比重は,日本のように盛んな国でも数量で9%,金額で19%である。なお日本の漁業種類別生産高をみると,1973年以降遠洋漁業が激減し,沖合漁業が伸びている(図)。海面漁業の主要な生産水域は北半球であり,太平洋および大西洋の北部水域の生産量は世界総量の49%に達する。…

※「沖合漁業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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