奄美諸島の南部に位置する島。北東に徳之島、南西に与論島がある。北東部が
南端の緯度は北緯二七度一九分三〇秒、北端が二七度二六分二〇秒付近、西端は東経一二八度三一分四〇秒、東端が一二八度四三分付近にある。最高点は
大宰府跡出土木簡に記される「伊藍嶋」は当島とされ、和銅年間(七〇八―七一五)から天平年間(七二九―七四九)の前半の間の木簡と推定されており、八世紀前半にみえる奄美の島名として貴重である。
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鹿児島県奄美諸島(あまみしょとう)南部に位置する島。「おきえらぶじま」ともよぶ。面積93.65平方キロメートル。古生層の基盤を第四紀の琉球(りゅうきゅう)石灰岩が数段の隆起サンゴ礁となって覆う。最高点も西部にある大山(おおやま)で246メートルと低平な島。島内には無数のドリーネや鍾乳洞(しょうにゅうどう)などのカルスト地形が形成され、昇竜洞(しょうりゅうどう)や水連洞などは代表的なものである。最寒月(1月)の平均気温は15℃を下らず、年平均気温も22℃と高い。このため、ビロウ、ガジュマル、アダンなどの亜熱帯植物がよく生育する。年降水量は1800ミリメートル強で、薩南(さつなん)諸島としては少ない。表流河川はないに等しく、農業・生活用水はかつては暗川(くらごう)とよばれる鍾乳洞の開口部や、段丘崖(がい)下の湧泉(ゆうせん)の水を利用していた。現在は水道施設が整備され、水くみの労力は要さないが水源は以前とほぼ同じである。基幹作物はサトウキビ。特産物のフリージア、エラブユリの球根栽培はよく知られている。奄美群島国立公園に属し、サンゴ礁海岸、鍾乳洞、植生、貯蔵庫の高倉など本土と異なる自然・文化景観を求めて訪れる観光客は多い。大島郡知名(ちな)、和泊(わどまり)の2町からなる。島の東部に沖永良部空港があり、鹿児島、奄美大島、沖縄(那覇(なは))、与論、徳之島(とくのしま)との間に定期便がある。また鹿児島港、那覇港からの定期船も寄港する。島の人口1万2996(2015)。
[塚田公彦 2019年5月21日]
『操担勁編『沖永良部沿革誌』(1961・望雲亭)』▽『永吉毅編『沖永良部島郷土史資料』(1968・和泊町)』
〈おきえらぶじま〉ともいう。鹿児島県南部,奄美諸島の徳之島と与論島との間にある島。面積94.5km2。古期岩石を基盤とするがサンゴ礁起源の石灰岩地域が広い。最高点の大山が標高240mに過ぎない低平な島で,それに降水量も少ないので表流水に乏しい。カルスト地形がよく見られ,鍾乳洞も1962年発見された昇竜洞,水連洞など日本有数の規模のものがある。水は海岸の湧水や洞窟を下った地点で得られ,このような洞窟を暗川(くらごう)という。水田がほとんどない。畑地ではサトウキビのほか,ジャガイモなどの露地園芸作,エラブユリ,グラジオラスなどの花卉栽培が盛んであり,球根は海外にも輸出される。3~4月のフリージア開花期にはみごとな景観が見られる。行政的には北東部が大島郡和泊(わどまり)町,南西部が知名(ちな)町(人口はそれぞれ7114,6806(2010))で,それぞれ同名の字が中心地で,また港でもあり本土からの定期船が出入りする。鹿児島港から約20時間余である。北東部の国頭(くにがみ)岬付近に空港があり,鹿児島空港から約1時間40分である。カルスト地形をはじめ国頭岬,北西の田皆岬の海食絶壁海岸や国頭岬付近のフーチャなどが観光地として有名であるが,フーチャは海食崖からの海水の逆噴射で全国的に見ても珍しい。15世紀ごろこの島を支配していた琉球北山王の子世之主の墓があり,琉球式墓として最北にあるものとされている。また,この島は江戸時代末に西郷隆盛が流されたところで,南洲神社をはじめ関連の史跡がある。
執筆者:服部 信彦
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…おきえらぶじまともいう。鹿児島県南部,奄美諸島の徳之島と与論島との間にある島。面積94.5km2。古期岩石を基盤とするがサンゴ礁起源の石灰岩地域が広い。最高点の大山が標高246mに過ぎない低平な島で,それに降水量も少ないので表流水に乏しい。カルスト地形がよく見られ,鍾乳洞も1962年発見された昇竜洞,水連洞など日本有数の規模のものがある。水は海岸の湧水や洞窟を下った地点で得られ,このような洞窟を暗川(くらごう)という。…
※「沖永良部島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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