沙弥(読み)シャミ

デジタル大辞泉 「沙弥」の意味・読み・例文・類語

しゃみ【弥】

《〈梵〉śrāmaṇeraの音写仏門に入り、髪をそって十戒を受けた初心男子修行未熟な僧。さみ。→沙弥尼

さ‐み【沙弥】

しゃみ(沙弥)

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百科事典マイペディア 「沙弥」の意味・わかりやすい解説

沙弥【しゃみ】

サンスクリットのシュラーマネーラの音写。息慈などと訳す。出家して沙弥十戒を受け,比丘(びく)となるまでの修行中の。女子は沙弥尼という。年齢によって3種に分け,7〜13歳を駆烏(くう)沙弥,14〜19歳を応法沙弥,20歳以上を名字沙弥という。また修行未熟者の意から,形は法体でも,妻子をもち,世俗の生業に従っているもの,つまり入道とか法師とよばれる人を,日本では沙弥といった。中世の沙弥には武士が多い。沙門,つまり僧とは明確に区別された。
→関連項目出家入道

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世界大百科事典 第2版 「沙弥」の意味・わかりやすい解説

しゃみ【沙弥】

サンスクリットのシュラーマネラśrāmaneraの音訳。日本では,本来,20歳未満で出家し,度牒(どちよう)をうけ,十戒を受け,僧に従って雑用をつとめながら修行し,具足戒をうけて正式の僧侶になる以前の人をさす。女性の場合は沙弥尼と称す。僧尼令では,僧・尼の注釈に沙弥・沙弥尼を加えており,僧尼と同じ扱いをうけているが,実際は僧の下に従属し,律師以上の僧官には従僧以下,沙弥と童子が配されていた。 具足戒を受けず,沙弥のままいた人々も多く,また正式のルートによらないで出家した僧(私度僧(しどそう))は私度の沙弥とか在家沙弥と呼ばれた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沙弥」の意味・わかりやすい解説

沙弥
しゃみ

サンスクリット語 śrāmaṇeraの音写。出家はしたが,まだ具足戒を受けず,出家修行者である比丘になる以前の少年をいう。

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世界大百科事典内の沙弥の言及

【隠者】より

…浄土や山岳を,現世を超えた〈他界〉として絶対視する観念に支えられたものである。平安時代以降,世俗化した寺院を離脱し,あるいは沙弥(しやみ)として教団・寺院の組織に入らぬままで信仰生活を送る者がふえた。彼らを遁世者(とんせいしや)と呼ぶ。…

【出家】より

…仏門に入って僧尼となることである。仏教徒の集団を構成する七衆のうち在家の優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)を除く,比丘(びく),比丘尼,式叉摩那(しきしやまな),沙弥(しやみ),沙弥尼の五衆は出家のなかに入る。鬚髪(しゆはつ)を剃り,墨染など壊色(えしき)に染めた衣をまとう状態になるので剃髪染衣(ていはつぜんえ)といい,とくに王侯貴族の出家は落飾(らくしよく)という。…

【僧】より


[インド]
 教団の構成員は出家修行者たる比丘(びく),比丘尼(びくに)と在家信者たる優婆塞(うばそく),優婆夷(うばい)の4種で,合わせて四衆とよぶ。また,修行者のうち未成年者を沙弥(しやみ),沙弥尼といい,女性で入団1年未満のものを式叉摩那(しきしやまな)とよび,これらを別出して七衆ともいう。比丘は満20歳に達し,具足戒を受けた者,比丘尼は同様な女性をいう。…

※「沙弥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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