精選版 日本国語大辞典 「沙汰」の意味・読み・例文・類語
さ‐た【沙汰】
さた‐だ
し【沙汰】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
鎌倉幕府の裁判制度を初心者向きに解説した書である『沙汰未練書』に、「沙」は砂、「汰」は選び分ける義であるから、砂を水中で揺すって中から砂金などを選別することをいうとの趣旨が述べられている。これは字義にもっとも近い説明であろう。「沙汰」はここから転じて、人や物事の是非、善悪、精粗を選び分け、正しく判断し処理する意味となった。この意味に近い用法には、中世における「裁判」「訴訟」をさすときの沙汰があり、すこし意味が広がって「評議する」「議論する」ことも沙汰といわれた。次には訴訟や評議の結論を執行すること、たとえば勝訴者に係争地を引き渡すことを「沙汰し付ける」「沙汰し据える」などという用法がある。この意味が拡大すると指図や命令そのものが沙汰と称され、また命令に従って政務を行うこと、荘園(しょうえん)の荘務を行うこと、具体的にいえば、年貢を賦課したり徴収したりすることとか、年貢や負債を支払うことも沙汰と表現された。さらに直接政務にかかわらない伝達事項や通知、ニュース、噂(うわさ)といったことも沙汰といわれる。「沙汰の限り」という語が鎌倉幕府の文書に出てくるときは、「幕府の裁量の限度」といった原義に近い使われ方をしているが、近世や現代では「もってのほか」といった意の一般的な言い回しになっている。これらのことは、この語のもつ意味の広がりをよく表している。
[桑山浩然]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
執務すること,取り扱うこと。とくに訴訟・裁判・判決をさしていう。中世後期の式目注釈書はしばしば沙汰を「イサコヲユル(砂を選る)」ことと説明している。砂中から砂金を選び出すことで,理と非を弁別する意味であるという。訴訟・裁判をさす沙汰は多くの複合語の語素となり,所務沙汰・検断沙汰・雑務沙汰など裁判類型をさす語として使用された。また尋沙汰(たずねざた)・明沙汰(あきらめざた)など個々の手続きをさす語としても使用された。ほかに「日葡辞書」が沙汰を,話・うわさ・取調べとしているのをはじめ,政務を執ること,所職(しょしき)を知行すること,年貢を徴収または納付すること,弁済・弁償すること,議論し決定することなど,多様な意味に用いられた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…古代・中世,律令制の国のうち,国司以外の公卿・廷臣や社寺等が吏務(りむ)(支配・統治の実務)の実権をもつ国。沙汰国,給国ともいい,吏務の実権をとる者を知行主とか国主という。 律令制の地方統治制度である国司制度がしだいにくずれ,国守(=受領)の地位が利権化する一方,公卿・廷臣らの俸禄制度が無実化するにともない,11世紀中ごろから公卿の子弟を諸国の守に任命し,その公卿に吏務の実権をとらせ(これを知行とか沙汰という),その間に収益を得させることがしだいに慣例となった。…
※「沙汰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
地震や風雨などによる著しい災害のうち、被災地域や被災者に助成や財政援助を特に必要とするもの。激甚災害法(1962年成立)に基づいて政令で指定される。全国規模で災害そのものを指定する「激甚災害指定基準に...
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新