河川の流路変更によって放棄された旧河道の一部に湛水して生じた湖を河跡湖という。流路変更の原因としては,(1)曲流河川において蛇行河道の湾曲が大きくなり,上流側と下流側が次第に接近して河道が直線状につながる場合,(2)洪水の際に河川が氾濫し,新たな流路をとる場合,(3)人工的な捷水路や放水路の建設に伴って,従来の河道が放棄される場合などがある。
特に,曲流河川の蛇行切断(斬首)によって生じた半環状の三日月湖oxbow lake(牛角湖ともいう)は河跡湖の代表的なもので,これは,捷水路の建設によっても生じる。三日月湖は,ミシシッピ川下流部やラ・プラタ川下流部など各地にみられるが,日本では石狩川下流部のものが著名である。また,海岸線に平行に砂州,砂丘が発達する平野では,平野の排水を良くするために砂丘を切って放水路が建設されることが多く,従来の河道が河跡湖となる例も多い。津軽平野の北部,十三湖の西側に砂州にはさまれて存在する前潟,内湖,明神沼はその一例である。これらの河跡湖は,一般に本流との絶縁が進むにつれて富栄養化し,粘土質の細粒堆積物によって充てんされていく。
執筆者:海津 正倫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
河川の旧流路に生じた湖沼。この種の湖の典型的なものとしては三日月湖(みかづきこ)があげられる。成因は、よく発達した沖積平野を流れる河川の蛇行が進行し、曲流した河道が洪水時の短絡と埋積作用などによって取り残されたことによる。アメリカのミシシッピ川や北海道の石狩川など大河川が流れる沖積平野にこの種の湖が多い。また、利根(とね)川中流部にみられる落堀(おっぽり)とよばれる池は、洪水時の洗削と堆積(たいせき)による窪地(くぼち)であり、アメリカ、ワシントン州グランド・クーリー付近のフォルス湖は、コロンビア川の旧河道の滝壺(たきつぼ)が流路変遷で湖として残ったもので、河跡湖の一種である。
[中尾欣四郎]
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