法律扶助協会(読み)ほうりつふじょきょうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「法律扶助協会」の意味・わかりやすい解説

法律扶助協会
ほうりつふじょきょうかい

民事・行政訴訟事件に関し、資力の乏しい者に対し裁判費用の立て替えと担当弁護士の斡旋(あっせん)を行っていた財団法人。2007年(平成19)に解散した。

 現行憲法が保障する法の下の平等や裁判を受ける権利を実質的に保障するため、1952年(昭和27)、日本弁護士連合会により設立され、本部を東京都に置き、その支部を各地方裁判所の所在地の弁護士会内に置いて広く活動をしていた。扶助の決定は、同協会内の審査委員会が申込者の資力、事件勝訴の見込みなどを基準に審査していたが、資金不足もあって、生活保護者やこれに準じる者に限られるのが実情であった。このような扶助協会の窮状を打開するため、日弁連法律扶助制度委員会を設置し立法化への推進運動や協会組織の改善等を検討。その結果、2000年(平成12)に「民事法律扶助法」が制定され、法律扶助協会による民事法律扶助事業の統一的な運営体制が整備されることとなった。その後、民事法律扶助法は2004年に「総合法律支援法」が成立したことにより廃止され、法律扶助協会が実施していた民事法律扶助事業は、同法により設置された日本司法支援センター(2006年4月設立。愛称法テラス」)に移管された。

[名和鐵郎]

『法律扶助協会編・刊『法律扶助の歴史と展望』(1982)』『法律扶助協会編・刊『リーガルエイドの基本問題』(1992)』『法律扶助協会編・刊『日本の法律扶助 50年の歴史と課題』(2002)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の法律扶助協会の言及

【法律相談】より

…交通事故やサラリーマン金融の被害などを対象とする専門化した法律相談は,社会問題化した事件類型と積極的に取り組もうとする弁護士会の姿勢を示すものである。無資力者に対する法的援助を目的とする法律扶助協会も無料の法律相談を行っている。大学法学部や消費者団体,労働組合などの法律相談では,弁護士資格を有しない学生や法律事務未経験者が関与する例があるが,無料であれば,非弁活動の禁止(弁護士でない者は報酬を得る目的で反復して法律事務を取り扱い,またはその周旋を業とすることができないという原則。…

【法律扶助】より

… 法律扶助の歴史は,アメリカなどの先進諸国では19世紀中葉までさかのぼるが,日本では大正時代に穂積重遠末弘厳太郎が東大セツルメントの一事業として法律相談部を創設したのを嚆矢(こうし)として宗教団体,新聞社,大学などが無料法律相談を行うようになったことに始まる。今日の日本の法律扶助は,弁護士会,地方公共団体,新聞社,大学などによる無料法律相談や特定の訴訟事件への援助もあるが,最も組織的本格的な活動は財団法人法律扶助協会(1952年設立,主務官庁は法務省)のそれである。その事業の中心は,訴訟費用,弁護士の手数料,謝金,保全処分の保証金等の立替えである。…

※「法律扶助協会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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