洗う(読み)アラウ

デジタル大辞泉 「洗う」の意味・読み・例文・類語

あら・う〔あらふ〕【洗う】

[動ワ五(ハ四)]
水などを使って汚れを取り去る。「食事の前に手を―・う」「雨に―・われて新緑が美しい」
海や川の水が打ち寄せて物にかかる。「大波甲板が―・われる」
隠れている事柄調べあげる。「身元を―・う」
心をすがすがしくする。「心が―・われる」
(「足をあらう」の形で)今までかかわっていた好ましくない仕事などを、きっぱりとやめる。「足を―・ってかたぎになる」
[可能]あらえる
[用法]あらう・すすぐ――「洗う」は水の中で、こすり、もみ、石鹸せっけんをつけるなどして、汚れを落とす意。「すすぐ」は水をかけたり、そのものの中に水を入れたりして汚れを流す意。「顔を洗う」とはいうが、「顔をすすぐ」とはいわない。「口をすすぐ」とはいえるが、ふつう「口を洗う」とはいわない。◇「洗濯物を洗う」は、洗剤を使って汚れを落とし、さらにその洗剤を洗い流すこと全体をいうが、「すすぐ」は最後に洗剤を落とすことについていう。◇「すすぐ」には「汚名をすすぐ」のような抽象的な用法があり、この場合、類似の語「そそぐ」と置き換えられるが、「洗う」では置き換えられない。◇類似の語に「ゆすぐ」があり、「洗い物をすすぐ(ゆすぐ)」と相通じて用いられる。
[類語](1流すゆすすす晒す洗い上げる洗い立てる洗い直す/(3調べる探る当たる調査する探査する踏査する精査する探索する研究する分析する検分詮索せんさくする調べ鑑査監査審査審理検討吟味けみするリサーチアンケート

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「洗う」の意味・読み・例文・類語

あら・うあらふ【洗】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 水などでよごれを落とす。すすぎ清める。着物などを洗濯する。米などを研ぐ。
    1. [初出の実例]「此の川に朝菜安良布(アラフ)児なれもあれもよちをそ持てるいで子たばりに」(出典:万葉集(8C後)一四・三四四〇)
    2. 「童(わらはべ)の頭ばかりをあらひつくろひて、なりはみなほころび絶え」(出典:枕草子(10C終)五)
  3. 水や波が岸辺に寄せたり返したりする。
    1. [初出の実例]「伊勢のあまの苫屋の床のかぢ枕あらふさなみに目をさましつる」(出典:散木奇歌集(1128頃)夏)
    2. 「岸を洗ふ静かな波音が下の方から聴えて来る」(出典:真鶴(1920)〈志賀直哉〉)
  4. 心を清める。心の中の不純なもの、有害なものを取り除く。
    1. [初出の実例]「今よりは心の垢を雪(きよめ)憂世の耳を可(アラフべき)便りに成ぬと思給ひ」(出典:太平記(14C後)一三)
    2. 「自分の妻ながら、きれいな心に僕は洗はれるやうであった」(出典:聖ヨハネ病院にて(1946)〈上林暁〉)
  5. (身元や犯罪事実など)隠れている事柄を調べる。詮議する。取り調べる。
    1. [初出の実例]「それともよくあらってみてくんねへ」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)三)

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