物体が流れの中に置かれたとき,物体表面が流線と一致しているような形をいう。流線形物体では,物体表面から境界層と呼ばれる薄い渦層が剝離しないため,乱流の発生が抑えられる傾向にある。その結果,エネルギー損失が少なくなり,流線形物体が流体中を動くとき,球のようにずんぐりした物体より抵抗がはるかに小さい。このことは航空機などの高速度物体ではとくに重要であり,流線形の研究は翼の研究と深く結びついてきた。しかし,近年のように飛行速度が音速に近いあるいはそれ以上となると,流線形がもっとも抵抗が小さい形とは限らない。飛行速度が音速と同程度になると,空気がぶつかる物体前面から下流に向けていわゆる衝撃波が現れる。衝撃波の発生も抵抗増大の主要因となり,翼などでは衝撃波の発生しない形がしばしば要求される。このときの形は一般的には流線形と異なる。
→翼(よく)
執筆者:吉沢 徴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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