静岡県南西部にあった旧市名。現在は浜松市の中南部を占め、浜北区を形成する地域。旧浜北市は、1956年(昭和31)浜名(はまな)町と北浜、中瀬、赤佐、麁玉(あらたま)の4村が合併して改称、1963年市制施行。2005年(平成17)周辺10市町村とともに浜松市と合併。旧市域中央を南北に遠州鉄道、国道152号が、東西に天竜浜名湖鉄道、国道362号が通じる。新東名高速道路の浜松浜北インターチェンジがある。旧市域は三方原(みかたはら)と天竜(てんりゅう)川に挟まれ、西遠(せいえん)地方屈指の農業地帯。ミカン、メロン、カキ、サツマイモなどの栽培、酪農、養豚など多角的農業が進んでいる。植木、盆栽、苗木の産地としても有名。江戸時代から綿作、藍(あい)作が盛んで、紡織、織布、染色関連工業が多い。近年オートバイ、自動車、機械部品、塗装などの工場が進出し、2002年における機械工業は繊維工業の30倍以上の生産額を示している。1984年浜松地域テクノポリスに指定され、先端技術関連企業が進出している。三方原周縁部に古墳が散在し、北部山麓(さんろく)の石灰岩採石場(根堅遺跡(ねがたいせき))から発見された洪積世(更新世)人骨は浜北人と命名され学術上きわめて貴重とされる。北浜の大カヤノキは国指定天然記念物。岩水寺(がんすいじ)は星祭り、桜の名所として有名。北西部にはアカマツの林や野鳥の豊かな県立森林公園があり、また、1992年に万葉の森公園も開園した。
[川崎文昭]
『『浜北市史』全9巻(1988~2004・浜北市)』
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