海神(読み)かいじん

精選版 日本国語大辞典 「海神」の意味・読み・例文・類語

かい‐じん【海神】

〘名〙 海の神。海をつかさどる神。わたつみ海人
古事談(1212‐15頃)五「諸海神等集会ひて、此の山を築きたるよし語り侍りしかば」 〔三斉略記〕

わた‐がみ【海神】

〘名〙 =わたつみ

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デジタル大辞泉 「海神」の意味・読み・例文・類語

わた‐つ‐み【海神】

《「つ」は「の」の意の格助詞。「わだつみ」「わたづみ」とも》
海を支配する神。海神。わたがみ。わたのかみ。
「―の持てる白玉見まく欲り千度そりしかづきする海人あまは」〈・一三〇二〉
1がいる場所の意から》海。大海
「―の豊旗雲に入日さし今夜こよひの月夜さやけかりこそ」〈・一五〉
[類語]海洋大洋大海海原領海公海大海原青海原内海うちうみ内海ないかい外海そとうみ外海がいかい外洋沿海沿岸近海遠海遠洋絶海四海七つの海

わた‐がみ【海神】

わたつみ1」に同じ。

かい‐じん【海神】

《「かいしん」とも》海をつかさどる神。海の神。わたつみ。

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普及版 字通 「海神」の読み・字形・画数・意味

【海神】かいじん

海の神。〔史記、秦始皇紀〕始皇、と戰ふ。人のの如し。占に問ふ。士曰く、~此の惡り。當(まさ)に除去すべし。而(すなは)ち善致すべしと。

字通「海」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海神」の意味・わかりやすい解説

海神
わたつみ

海(わた)ツ霊(み)とも書き、海に住む神霊を表す。中国の「海若」から海童、少童ともいい、「わた(海)」は朝鮮語Pataと同源とされて海洋的他界もさす。記紀神話の海幸(うみさち)・山幸(やまさち)神話は、本来海洋的他界よりその呪力(じゅりょく)を与えられる神話であり、海神はこの他界を支配し、風波干満雨水をつかさどる神とされている。しかし海神国も、水江浦島子(みずのえうらしまこ)の伝承では常世(とこよ)(万葉集)、蓬莱山(ほうらいのやま)(雄略(ゆうりゃく)紀)とよばれ、神仙思想を受けて変容する。なお海神には、安曇(あずみ)氏の海神(わたつみ)三神宗像(むなかた)三神、住吉(すみよし)の三神がある。

吉井 巖]

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世界大百科事典 第2版 「海神」の意味・わかりやすい解説

かいじん【海神】

海洋を支配し,魚類を統治・管理する神。神話や伝説によって知られるにすぎないものから,人々によって信仰され,儀礼の対象になっている神々まである。航海神としての性格の強い神,漁業神としてあがめられる神,双方の特色を備えた神など種々ある。海の最高神として知られるギリシアポセイドンなどは,嵐を起こしたり鎮めたり,海戦を有利に導くとされるから,漁業神としてよりも航海神,戦神としての性格が強い。イグルリク・エスキモーは海の諸動物を統治する女神セドナSednaが彼らの生存を支えてくれていると信じている。

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