深しい(読み)フカシイ

デジタル大辞泉 「深しい」の意味・読み・例文・類語

ふかし・い【深しい】

[形][文]ふか・し[シク]《ク活用「深し」のシク活用化したものの口語形。主に中世から近世に用いられた》
奥深い。また、くわしい。
「敢て―・い訳があるのではなく」〈緑雨・油地獄〉
りゃあ、―・い訳を知らねえ」〈人・契情肝粒志〉
普通の程度とは違っている。格別である。
芸能と申して、―・い事もござない」〈虎明狂・鼻取相撲〉
量が多い。たくさんである。
「―・うりはいたさぬ」〈虎明狂・瓜盗人

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精選版 日本国語大辞典 「深しい」の意味・読み・例文・類語

ふかし・い【深】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙 ( 形容詞「ふかし(深)」から派生しておもに室町時代から近世にかけて用いられたもの )
  2. 奥深い。また、くわしい。
    1. [初出の実例]「ふかしい事は存ぜぬが」(出典:浄瑠璃・兼好法師物見車(1710頃)中)
  3. 格別であるさま。たいしたことである。重大だ。
    1. [初出の実例]「芸能と申てふかしひ事もござなひ」(出典:虎明本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初))
  4. たくさんであるさま。多い。多量だ。
    1. [初出の実例]「『十二騎とこそ承って候へ』『いやそれは深しからぬことぢゃほどに〈略〉』」(出典:謡曲・吉野静(1423頃))

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