精選版 日本国語大辞典 「漁港」の意味・読み・例文・類語
ぎょ‐こう ‥カウ【漁港】
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漁業生産と流通・加工との結節の機能を果たす港であって、水産業における主要な社会資本である。漁港施設には、漁船の出入・係留・停泊の安全を確保する防波・防砂・防潮用の堤、岸壁・係船杭(くい)などの係留施設、漁獲物の揚場、航路標識、信号・照明施設と、さらに漁獲物、水産加工品、漁業用資材、燃油等を輸送する鉄道、道路、橋、運河などの施設がある。
漁業が沿岸海域で小型漁船により操業された無動力船段階にあっては、漁船を使用しないときには、それを陸上に引き揚げておいた。近代における漁業の発展は、漁業生産でもっとも主要な生産手段である漁船の大型化と動力化を基軸として展開してきた。その過程で、大型の動力漁船を陸上に引き揚げることは困難となり、その結果、漁船の停泊、接岸、漁獲物の陸揚げ、出漁に必要な物資の積み込みの施設の整備が強く漁業者から要望されるに至った。そしてこの施設の有無が漁船大型化の進捗(しんちょく)度を規定することになり、イギリスをはじめとする西欧各国において、漁港修築が、19世紀後半から主として国・地方自治体などからの公的資本の投下によって推進されてきた。イギリスでは鉄道会社が漁港を修築し経営する例もあったが、漁港施設は、漁業に関連する諸資本が共同して使用する一般的な生産施設であり、また修築費用が莫大(ばくだい)で、その償却には長い年月を要することから、私的資本の投下の対象にはなりにくい。わが国では明治末に漁船の動力化が始まって以降、動力漁船が急増したことから、1918年(大正7)より国庫補助による漁港修築事業が本格的に開始された。また小型動力漁船が普及したことから1925年より小漁港修築への国庫補助も行われるようになった。とはいえ、漁港の修築・整備が全国的に進んだのは第二次世界大戦後である。50年に政府は漁港法(昭和25年法律137号)を制定し、漁港整備を制度化した。この法律により漁港の種類は、その利用範囲が地元の漁業を主とする第1種漁港、その利用範囲が第1種漁港よりも広く、おもに沖合漁業が利用する第2種漁港、全国の漁船が利用し、遠洋漁業の根拠地となる第3種漁港、離島その他辺地にあって漁船の避難などにとくに必要な第4種漁港、および第3種漁港のうち水産業の振興上とくに重要な漁港を政令で定めた特定第3種漁港に区分され、それに従って、国から修築事業費の4割から8割が補助される。漁港の整備は、漁船入出港時の危険の軽減、停泊・係留漁船の安全確保だけではなく、漁港背後地域に魚市場、加工・冷凍業、造船業等の水産関連業種の進出を促し、地域経済の向上に寄与する。それゆえ水産関係政府予算においてもその整備費は高い比重を占めてきており、83年度(昭和58)でもその5割強がそれに支出されている。
[高山隆三]
『日本農業研究所編『農林水産省百年史 中・下巻』(1981・農林水産省)』
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…これらの語に代わって新たに港湾ということばがつくられ用いられるようになったのは明治になってからである。厳密にいえば,港湾とは港湾法の適用を受けるもののみを指し,漁港法の適用を受ける漁港とは区別されている。港湾という語句はいわば法的な用語であるが,慣用的には港湾と漁港を併せて港(みなと)と呼ぶことが多く,したがって港湾は港の概念に含まれているといえる。…
※「漁港」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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