らん‐しょう ‥シャウ【濫觴】
〘名〙 (「
荀子‐
子道」および「
孔子家語‐三恕」に見える、孔子が子路を戒めたことば「昔者江出
二於岷山
一、其始出也、其源可
二以濫
一レ觴」の、
揚子江も源にさかのぼれば、觴
(さかずき)を濫
(うか)べるほどの細流であったとの意から。
一説に、「濫」はあふれる意で、さかずきをあふれさせるほどのわずかな
水流をいうとも) 細い流れ。流れの源。転じて、
物事の始まり。
起源。起こり。もと。
※三教指帰(797頃)下「夫挙
二鰭濫觴
一、曾無
レ由
レ見
二千里之鯤
一、翥
二翮

籬
一何能知
レ有
二九万之鵬
一」
※
御伽草子・
鴉鷺合戦物語(室町中)「都に希代の合戦侍り。そのらんしゃうをたづぬるに鴉鷺
(あろ)のくゎくしうとぞうけ給る」 〔虞世南‐琵琶賦〕
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デジタル大辞泉
「濫觴」の意味・読み・例文・類語
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濫觴
ものごとの始まりや起源を指すことば。
[使用例] それまでの日本には鉾はあったが、槍はなかった、槍は九州の菊池党がつかい出したのが濫觴であるというのである[吉川英治*私本太平記|1958~62]
[由来] 「[荀子]―子道」に引用されている、孔子のことばから。立派な服装をして得意になっている弟子、子路に対して、孔子は、こんなたとえ話をします。「黄河も『其の源は以て觴を濫ぶべし(源流は、杯がやっと浮かべられる程度の小さな流れである)』だが、海に出るころには、風の状態がいい時に船を使うのでなければ渡れないくらい、大きな流れになる。それは、流れ下りながら多くの川の水を受け入れるからだ」。そして、続けて「そんないかめしい格好をしていると、だれも助言をしてくれなくなるぞ」と、黄河の流れにたとえて、他人の忠告を受け入れることの大切さを教えたのでした。なお、「濫觴」を「觴より濫る(杯からやっとあふれる程度の小さな流れ)」だとする解釈もあります。
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普及版 字通
「濫觴」の読み・字形・画数・意味
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