火の柱(読み)ヒノハシラ

デジタル大辞泉 「火の柱」の意味・読み・例文・類語

ひのはしら【火の柱】

木下尚江小説。明治37年(1904)発表日露戦争前後、非戦論を唱え、資本家軍人政治家らの虚偽と不正をあばくキリスト教社会主義者の行動を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「火の柱」の意味・読み・例文・類語

ひ【火】 の 柱(はしら)

  1. ひばしら(火柱)
    1. [初出の実例]「柱もすなはち火焔となって、火の柱を抱くぞとよ」(出典:謡曲・求塚(1384頃))
  2. 旧約聖書の「出エジプト記」に出てくる故事。イスラエル民族は四十年の長い間、荒野の旅を続けたが、神はその行く先に、夜になると火の柱を燃やして、道しるべとしたといわれる。
    1. [初出の実例]「ヱホバかれらの前に往たまひ昼は雲の柱をもてかれらを導き夜は火(ヒ)の柱(ハシラ)をもて彼らを照して」(出典:旧約全書(1888)出埃及記)

ひのはしら【火の柱】

  1. 長編小説。木下尚江作。明治三七年(一九〇四)刊。日露戦争前後の日本で、平民社を中心にキリスト教社会主義者によって展開された平和運動と、当時の体制社会の悪を描く。明治の社会主義文学代表作

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百科事典マイペディア 「火の柱」の意味・わかりやすい解説

火の柱【ひのはしら】

木下尚江中編小説。1904年《毎日新聞》に連載。キリスト教社会主義者篠田を主人公に,平民社の非戦運動,資本家・軍人・政治家の虚偽と不正を描く。通俗的な作品だが作者情熱理想読者共感を呼び,明治社会主義文学の代表作とされている。
→関連項目新聞小説

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「火の柱」の解説

火の柱
ひのはしら

木下尚江(なおえ)の長編小説。1904年(明治37)1月1日から3月20日まで「毎日新聞」に連載。同年5月平民社刊。日露戦争をめぐる平民社の非戦運動を主題とする。主人公のキリスト教社会主義者篠田長二が,同志とともに反戦を主張し,弱者救済のために社会悪と闘う実践活動を進めるなかで,政商や国家権力に忌み嫌われ,ついに投獄されるまでの経緯が描かれる。社会主義小説の代表的作品とされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火の柱」の意味・わかりやすい解説

火の柱
ひのはしら
Pillar of fire

1幕のバレエ。音楽 A.シェーンベルク。振付 A.チューダー。装置 J.ミエルジンナー。 1942年アメリカン・バレエ・シアターで初演。ドイツの詩人 R.デーメルの詩に基づいてシェーンベルクが作曲した『浄夜』を全曲使い,三人姉妹のまんなかの娘ヘイガーの青春のあせりとつまずきを描いた心理的な作品。チューダーの渡米後初の作品で,代表作の一つ。バレエ・シアターのレパートリーになっている。

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旺文社日本史事典 三訂版 「火の柱」の解説

火の柱
ひのはしら

明治後期,木下尚江 (なおえ) の長編小説
1904年『毎日新聞』に連載された社会主義文学の代表作。日露戦争をめぐりキリスト教社会主義の立場からの非戦運動を主題として主人公篠田長二が,資本主義社会の悪と闘い,結局官憲に捕らえられるという筋。作者の理想を生き生きと描き出した作品。

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デジタル大辞泉プラス 「火の柱」の解説

火の柱〔バレエ〕

イギリスの振付家アントニー・チューダーによるバレエ(1942)。原題《Pillar of Fire》。初演はアメリカン・バレエ・シアター。音楽はアルノルト・シェーンベルク。

火の柱〔戯曲〕

米国の作家レイ・ブラッドベリの戯曲集(1980)。原題《Pillar of Fire and Other Plays》。

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