火の車(読み)ヒノクルマ

デジタル大辞泉 「火の車」の意味・読み・例文・類語

ひ‐の‐くるま【火の車】

火車かしゃ」を訓読みにした語。
経済状態がきわめて苦しいこと。「家計は年中火の車だ」
[類語]金欠金詰まり手詰まり手元不如意首が回らない懐が寒いグリッドロック

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精選版 日本国語大辞典 「火の車」の意味・読み・例文・類語

ひ【火】 の 車(くるま)

  1. ( 「火車(かしゃ)」の訓読み ) 地獄にあって火が燃えているという車。生前悪事を犯した者を乗せて地獄に運ぶという。
    1. [初出の実例]「極楽の迎は不見えずして、本意无く火の車を此に寄す」(出典:今昔物語集(1120頃か)一五)
  2. 家計が非常に苦しいこと。生計のやりくりに苦しむこと。
    1. [初出の実例]「夏酒や我とのり行火の車〈北枝〉」(出典:俳諧・俳諧世説(1785)三)

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故事成語を知る辞典 「火の車」の解説

火の車

家計が非常に苦しいことのたとえ。

[使用例] 私は、角さんの家の商売が火の車であることも、小父さんの小さな娘がひどい麻疹はしかを患ったことも、また良ちゃんがどんな恋愛を経験したかも、みんな知っていた[福永武彦*草の花|1954]

[由来] 「大智度論―一四」などに出て来る、悪事を犯した者が死んだときに地獄へと運ぶという、火に燃えさかる車のこと。地獄に落ちたように苦しいというところから、家計が非常に苦しいことのたとえとして使われるようになりました。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火の車」の意味・わかりやすい解説

火の車
ひのくるま

地獄にあって、火が燃えているという車。「火車(かしゃ)」の訓読み。獄卒が生前悪事を犯した亡者(もうじゃ)をこれに乗せ、責めたてながら地獄に運ぶようすは、地獄絵巻などに描かれて、生前の悪業を戒める説教に使われることが多い。転じて、地獄の鬼ならぬ債鬼に追い立てられ、日々借金地獄を味わう生活、また生計のやりくりに苦しむことを、例えて火の車という。

[棚橋正博]

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