火山帯(読み)かざんたい(英語表記)volcanic belt

精選版 日本国語大辞典 「火山帯」の意味・読み・例文・類語

かざん‐たい クヮザン‥【火山帯】

〘名〙 火山が集中的に分布している帯状地域多く大陸周縁に沿って細長く連なる。地球上で大きいものとしては環太平洋火山帯地中海火山帯があり、二大地震帯および第三紀末期造山帯と一致する。日本の場合は東日本火山帯西日本火山帯とに大別される。火山脈火山列。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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デジタル大辞泉 「火山帯」の意味・読み・例文・類語

かざん‐たい〔クワザン‐〕【火山帯】

多数の火山が分布する帯状の地域。日本列島環太平洋火山帯に属し、東日本火山帯西日本火山帯とに分けられる。火山脈。
[類語]火山噴火山死火山休火山活火山単成火山複成火山単式火山複式火山海底火山外輪山内輪山噴火口火口火口原クレーターカルデラ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「火山帯」の意味・わかりやすい解説

火山帯
かざんたい
volcanic belt
volcanic zone

多数の火山があるかたまりとして分布している地帯。火山帯は、新生代第四紀(過去約258万年間)のものをさすのが普通である。外国では、環太平洋火山帯、地中海火山帯、東アフリカ火山帯などがある。これらの火山帯は海溝や大陸の大地溝帯とほぼ平行に配列する。日本列島は環太平洋火山帯の一部にあたる。日本では、地理的分布と火山岩の組成の類似性から、千島(ちしま)、那須(なす)、鳥海(ちょうかい)、富士、乗鞍(のりくら)(御嶽(おんたけ))、白山(はくさん)(大山(だいせん))、霧島(琉球(りゅうきゅう))の7火山帯に分類されていた。瀬戸内火山帯とされたものは1300万年前前後の火山帯である。最近では、プレートテクトニクスの視点から、近畿地方を境にして東日本火山帯と西日本火山帯の二つに大きくまとめられている。両火山帯の分布は深発地震面の100キロメートル以深の場所と一致し、海溝側ほど火山の分布密度が高い。海溝側の分布の限界を、天気図になぞらえて火山フロント(前線)とよぶ。

[諏訪 彰・中田節也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「火山帯」の意味・わかりやすい解説

火山帯
かざんたい
volcanic zone

ほぼ同時代に生成した多数の火山が帯状に細長く分布する地域。顕著な例は,太平洋を断続的に取り巻く環太平洋火山帯で,南アメリカのアンデス山脈など大陸の縁にそびえる大山脈や日本列島などの弧状列島(島弧)も含まれる。環太平洋火山帯はプレートの収束境界(→沈み込み帯)にあり,ここでは海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むことによって上部マントル橄欖岩が融解しマグマが発生する。火山帯の最も海溝寄りの火山同士を結んだ線は火山フロントと呼ばれ,海溝やトラフと平行して走る。形成過程が同じタイプの火山帯にはこのほか地中海火山帯,インドネシア火山帯などがある。また,アフリカ大地溝帯や大洋の中央海嶺の火山帯はプレートの拡大境界に,ハワイ諸島などの火山帯はホットスポット上に形成されている。日本列島はかつて千島火山帯那須火山帯鳥海火山帯富士火山帯乗鞍火山帯白山火山帯霧島火山帯と地理的に区分されていたが,近年マグマの発生過程や地球物理学的な研究結果から,東日本火山帯西日本火山帯の 2区分が採用されるようになった。

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百科事典マイペディア 「火山帯」の意味・わかりやすい解説

火山帯【かざんたい】

火山が密集する細長い地域。地表の多くの火山は火山帯を形成する。大型の火山帯は幅100〜200km。最大は環太平洋火山帯。環太平洋火山帯では火山の岩石の性質に帯状分布が明瞭に認められ,大陸側はアルカリに富む。火山帯に沿って地震,重力異常,大地形等の分布が一定の関係で変化する。島弧の火山帯は海溝と平行し,火山帯は島弧全体の活動の一部とみなされている。

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世界大百科事典 第2版 「火山帯」の意味・わかりやすい解説

かざんたい【火山帯 volcanic belt】

ある限られた地質時代に生成した火山が密に分布する地帯。同義の火山脈という語は,地下に諸火山を結ぶマグマの脈が存在するかのように誤解されかねないので,近年は使われない。ただ火山帯といえば,新生代第四紀の火山帯をさすのが普通である。火山は地球上に一様に分布してはおらず,限られた地域に偏在しているが,最も顕著なのは太平洋を取り巻く大陸の縁や弧状列島に発達している環太平洋火山帯で,〈太平洋の火の環〉と称される。

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