精選版 日本国語大辞典 「火砕流」の意味・読み・例文・類語
かさい‐りゅう クヮサイリウ【火砕流】
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火山灰、火山ガス、溶岩片などが一団となり、高速で山の斜面を流れ下る現象のこと。一般に高温で、最高時速150キロメートルを越えることがある。火砕流は、安山岩、デイサイト、流紋岩など粘り気の高いマグマの噴火によってできた火山で発生することが多いが、玄武岩の火山においても発生することがある。1902年の西インド諸島のフランス領マルティニーク島プレー火山で発生した火砕流は、サン・ピエール市街地を襲い、約2万8000人の市民が一瞬にして火砕流の犠牲となった。火砕流は、爆発的噴火の際に火口から四方八方に流れ下ることや、火口付近の溶岩円頂丘(溶岩ドーム)や溶岩流が崩れて発生することがある。後者は比較的規模が小さく熱雲ともよばれており、サン・ピエールを襲ったものは、これである。カルデラをつくるような規模の大きな噴火に伴う火砕流は、軽石流や火山灰流ともよばれている。阿蘇(あそ)山では約32万年前から9万年前にかけて4回の大きな火砕流噴火がおこり、その結果、山頂部が陥没して、現在のカルデラができた。
火砕流は谷など地形的に低いところを流れるが、火山灰と火山ガスからなる希薄な部分(火砕サージ)は火砕流の本体から分離し斜面をはいあがったり横方向に広がる性質がある。プレー火山の1902年の噴火や長崎県雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)の1991年(平成3)の噴火のように、火砕流による犠牲者は火砕流の本体より火砕サージに巻き込まれた場合が多い。
雲仙普賢岳では1990年から1995年にかけて、成長を続ける溶岩ドームが繰り返して崩壊したために、合計で9000を超える回数の火砕流が発生した。1991年6月3日に発生した火砕流では43名の報道関係者や防災関係者が犠牲になった。三宅(みやけ)島で2000年8月末におきた水蒸気爆発では、低温で勢いのない火砕サージが発生し住宅街を飲み込んだが、幸い犠牲者はでなかった。
[中田節也]
『砂防学会編『火砕流・土石流の実態と対策』(1993・鹿島出版会)』▽『千木良雅弘著『群発する崩壊――花崗岩と火砕流』(2002・近未来社)』
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(井田喜明 東京大学名誉教授 / 2007年)
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